全国10医院の歯科訪問診療
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の登場人ース本ケ物133 25年前に開業した当初は、場所が埋立地のニュータウンだったこともあり、高齢の患者さんは多くなく、子どものう蝕治療や成人の歯周治療が主でした。その後、1995年の阪神淡路大震災や2000年の介護保険創設を機に、だんだん歯科訪問診療の回数が増え、内容も多岐にわたるようになり、介護現場での口腔ケアも訪問歯科衛生士と共に行うようになりました。 そこで今回は、私たちが今までかかわってきた介護施設での取り組みを通じて、これから施設や在宅現場で他職種との連携を図っていこうと思われている読者の皆さまが果たすべき役割や、期待されるかかわりについてお話しさせていただきます。白畑さん(仮名)今回の患者さん。約12年前に芦屋市内の特養ホームに入所されてきた。1923(大正12)年5月生まれ(初診時80歳)。主病は老人性認知症で、腰椎の圧迫骨折や変形性膝関節症による廃用性筋萎縮が著明。入所後に誤嚥性肺炎を発症したため、入院加療を受け、栄養摂取は胃ろうによる経管栄養管理に移行していた。要介護度5。この白畑さんに、もう一度口から食べてもらおうということで、多職種が立ち上がることに。村松先生(医師)白畑さんが入所する施設の協力医。入所者の健康管理を担っている。山元さん(看護師)どこか頼りなく見えるが、芯のある施設看護師。若い介護福祉士たちの良き相談役。空地(歯科衛生士)DH歴は約45年。10年前に施設で行った研修会の後、1年余りにわたって施設での口腔ケアをボランティアでしてくれた。現在は施設の嘱託DHとして契約を結び、山元さん同様、若い介護福祉士たちの良き相談相手となっている。牛尾さん(理学療法士[PT])シーティングやポジショニングのプロ。西側さん(管理栄養士)施設入所者の栄養管理を一手に担う。彼女の作成した栄養・体重管理表(P.139図8-1)は秀逸。小田(筆者・歯科衛生士)当院の2人の嘱託歯科衛生士の1人。DH歴は約50年で、訪問歯科衛生士としてのキャリアも30年近くある。口腔ケアから嚥下リハビリまでこなすスーパーハイジニスト。石原さん、矢吹さん金澤さん(介護福祉士)お互いに切磋琢磨し合う若き男性介護福祉士たち。口数は少ないが、3人とも施設の入所者に対し熱い思いを持ってくれている。小野(筆者・歯科医師)小野歯科浜風診療所の院長。20年以上訪問診療に携わる。今回の施設では、嚥下スーパーバイザーとして白畑さんを取り巻く多職種とかかわっていく。

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