多剤常用時代の歯科診療室における局所麻酔管理のすすめ
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29歯科麻酔の基本は局所麻酔Ⅰ5 患者を怖がらせずに完全無痛を提供する 伝達麻酔注射の多くは,孔や隙にある神経枝への薬液浸潤をイメージして注射します13).欠点は,患者に不快な思いをさせることです.針穿刺時における〝ビリビリッ〟〝ズキン!〟というような電撃様疼痛を与えることがあります.加えて,針先を骨に当てると針先はめくれ,抜針の際に神経や血管を損傷させてしまいます. なお,著者の臨床においては,針先を孔の中へ刺入し,薬液を注入する伝達麻酔注射は,切歯孔(切歯管)のみです. 孔へ入る,孔から出てくる神経枝と動静脈の損傷を防止するために,骨面に針先を当てるなどの乱暴な注射操作による針先のめくれを回避します.図Ⅰ-26は,神経が孔から出てくる部位での伝達麻酔注射における針刺入と薬液注入のイメージを図示しました.骨膜下および隙・粘膜下へ薬液を注入した状態です.一方,図Ⅰ-27には,神経が孔へ入る部位での伝達麻酔注射のイメージを図示しました.神経脈管を傷つけないように,どのような注射操作をすべきか考えて注射します.したがって,下顎孔伝達麻酔注射(下歯槽神経伝達麻酔注射)では下顎孔へ神経が入る部位,下顎枝内面,耳下腺,そして内側翼突筋,蝶下顎靭帯で囲まれた隙への浸潤麻酔注射をイメージして注射します.伝達麻酔注射とは!孔や隙への薬液浸潤2図Ⅰ-26 神経が孔から出る部位での伝達麻酔注射(液注入)図Ⅰ-27 神経が孔に入る部位での伝達麻酔注射(液注入)骨髄骨膜歯肉神経静脈動脈歯肉骨髄動脈骨膜静脈神経

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