多剤常用時代の歯科診療室における局所麻酔管理のすすめ
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28歯科麻酔の基本は局所麻酔Ⅰ5患者を怖がらせずに完全無痛を提供する 怖がりは痛がる.歯科患者に対する局所麻酔においても,この事実は実証されました8).注射を受ける状態での不安が高いと,針を穿刺したときに強い痛みを訴えました8).したがって,患者に不安を与えず,「我慢してください」と声かけすることがないように,対処してください. 現在,国内に製造会社は数社あり,多品目が流通しています.多くの表面麻酔剤は各種局所麻酔薬配合剤です.表面麻酔効果には大差を認めません11).しかし患者の100人中86名が表面麻酔剤の使用を望んでいます12).近年では,各種フレーバーまたは各種の味がする薬剤も用意され,患者の要望と趣向にかなう方向性で開発,実用化されています. 図Ⅰ-24,25に示したように,誤飲,誤嚥,窒息防止には表面麻酔剤をロールワッテに付けて,粘膜への塗布では,落下防止,迅速回収のためにデンタルフロスなどで結ぶと安心です. 局所麻酔効果を良好に奏功させるには,貼付部位の粘膜を乾燥させ,防湿しながら3分間,待ちます.スプレーの噴霧では空嘔吐反射を制御できずスプレーを繰り返し,局所麻酔中毒の誘発に注意します.空嘔吐やムセなどの反射が強い患者には静脈内鎮静法を適用し,上気道の管理を行います.針穿刺・刺入に対する鎮痛効果は,表面麻酔剤よりも笑気酸素吸入鎮静法のほうが確実でした22).INTRODUCTION 表面麻酔は必要ですか?1図Ⅰ-24 ロールワッテに表面麻酔剤を塗布図Ⅰ-25 デンタルフロスで結び,落下時の取り出しを容易にする

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