インプラントYEAR BOOK 2017
5/6

スプラインHAインプラントシステムスプラインHAインプラントシステムClinical ReportスプラインHAインプラントの臨床応用林 丈裕(Hayashi, Takehiro)(東京都港区開業:吉樹デンタルクリニック)所属・役職FIDI,ICOIフェロー,OJ正会員,スプラインインプラントアドバイザー緒言 本稿ではインプラント埋入時期のタイミング,特に即時埋入および待時埋入におけるスプラインインプントの臨床応用について述べる. インプラント治療を行うにあたって,骨の治癒能力を最大限に活かすためには,埋入時期を十分に考慮する必要がある.つまり,骨形成に適した4壁性,3壁性のボーンハウジングが存在する時期にインプラントを埋入することが第一選択となる.加えて,正確なインプラント埋入ポジションも重要となる.埋入時期・埋入ポジションを誤ると利用できる骨や歯肉が不足し,GBR(骨再生誘導法)やCTG(結合組織移植)などの追加的外科処置が必要となり,外科的侵襲が大きく,治療期間も長期化し,患者のQOLの低下につながる. 今回,骨形成を期待する抜歯即時埋入症例,骨質が粗な症例(type3·4)などに対しアドバンテージのあるスプラインHAインプラントを用い,それぞれの埋入時期における利点・欠点を十分に理解したうえで,各手技を用いて対応した症例を提示し,どの時期に埋入することが患者・術者ともに最良の結果が得られるかを考察していきたい.症例供覧症例1 :ソケットシールドテクニックを応用した症例 本症例は、外傷による上顎左側中切歯歯冠破折を、抜歯即時のインプラント埋入で修復した症例である.患者は45歳の女性.外傷による上顎左側中切歯の動揺を主訴として来院.CT画像所見にて歯槽骨頂部における水平破折線が認められ,歯根長も短いことにより,抜歯しインプラント修復治療を行う計画とした. 歯肉のバイオタイプがthinスキャロップであること,患者が反対側同名歯との補綴形態・歯周組織形態との同調を希望していることより,唇側部の歯根膜を温存して唇側骨の維持を目的としたソケットシールドテクニックの応用を試みた.287287

元のページ  ../index.html#5

このブックを見る