お母さんたちに伝えたい!歯並びの良い子に育てよう
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 前項では,矯正治療をいつ始めればよいのかについて説明しました.では,子どもの矯正歯科治療はいつ終わるのでしょうか? 治療を始めるかどうかにばかり気をとられ,その後どのように治療が進み,いつごろまで続いていくのか,そこまで気が回らないこともありますね.Chapter4,その3で説明したように治療を開始する前に矯正治療の全体像をしっかり把握しておくことは,とても大切です. たとえば,小学校低学年の一期治療で,いったん反対咬合が治っても,成長が旺盛となる思春期成長期に再度反対咬合になることがあります.下顎の骨は,手足と同じ発育パターンを持っていて,手足が伸びて身長が伸びるとき,下顎骨も大きく伸びる可能性があるのです. ほかにも,前歯4本がきれいに並んでも,後から生えてくる側方歯(前から3,4,5番目の歯)や第二大臼歯(7番目の歯)がゆがんで生えてくることもあります.ですから,一期治療がいったん終了しても,その後,ずっと歯の生え替わりと顎の成長の経過を観察し続けていくことが重要です. そして,成長が終了し永久歯が全部生えそろった際に再評価します.この段階で問題がない場合でも観察は続けますが,問題が残っている場合,あるいは完璧な咬合に仕上げる場合は,上下の歯全部に複雑な装置をつけて,仕上げのための二期治療を行います.反対咬合の程度がひどくなってしまった場合には,外科的矯正治療が必要となる場合もあります.二期治療終了後の安定の確認も必要ですので,矯正治療を卒業できるのはやはり高校卒業の頃です.長いおつき合いになりますが,固定式の装置をつけている動的治療期間(Chapter4,その3)が短ければ,お子さんの負担はそれほど大きくはありません. 子どもの矯正治療を開始する場合は,治療の終わりをよく確認して,全体のイメージをしっかり捉えてから開始してあげてください(図7).安全・安心な子どもの矯正歯科治療の終わりはいつ?その7図7 安全・安心な矯正治療の終わりは高校卒業の頃.38

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