お母さんたちに伝えたい!歯並びの良い子に育てよう
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 前項で先天的因子が原因になっている不正咬合は受け入れるしかないと説明しましたが,だからといって,あきらめて何もしないでいいわけではありません.後天的因子は先天的因子の不正咬合をさらに悪化させていきます. たとえば出っ歯の場合,ほとんどの子どもが口唇を開いているため,上の前歯に抑える力が働かず,ますます上の前歯は突出します.さらに,下口唇が上の歯と下の歯の間に入り込むというまちがった飲み込み方を続ければ,下の前歯はどんどん内側に倒れて,出っ歯の度合いはますますひどくなっていきます.受け口の場合は,口唇が開いて舌が低い位置にあるため,その舌が下顎の歯列をますます大きくしていきます. ひとつの症例において,その不正咬合の状態の何パーセントが先天的要因で,何パーセントが後天的要因であるのかということは,誰にもわかりませんが,少なくとも後天的要因だけは排除して,不正咬合の悪化を防ぐことが大切です.後天的要因を排除することは,矯正治療が必要になった場合には,治療効果が出やすいということになりますし,矯正治療後の安定にも繋がります. 図3は,典型的な出っ歯の2例です.兄弟でも親戚でもありませんが,とても似た歯並びをしています.もちろん先天的要因があると思われますが,いつも口唇が開いていること,飲み込む際に下口唇が下の前歯を強く押してしまうことが,さらに出っ歯をひどくしていると考えられます. この子どもたちがこのままこのような癖を続けていくと,おそらく外科的矯正治療(顎の骨を切る手術を併用する矯正治療)が必要になってくると思われます.後天的要因に気づいて,取り除くことが大切です.後天的因子が(先天的因子による)不正咬合を悪化させている場合があるその2図3a,b 舌と口唇の位置,動きが歯並びを悪化させていると推測できる例.兄弟ではないが,歯並びが似ている.ab12歳3か月男子8歳7か月女子11

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