咬合挙上をうまくなりたい

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6咬合挙上のさきがけ【1902年〜】「咬合挙上」「bite raising」（Biβhebung：独）という概念が歯科医学の文献に登場するのは，Karoyli（1902）がさきがけであるとされる．これは現在でいう歯周治療用歯ぎしり防止スプリントを示し，咬合挙上により歯ぎしりを防止するとともに，歯周組織を保護するのではないかという意図で考案された．ゴム床の暫間的咬合挙上装置【1929年〜】咬合挙上スプリントの歯科補綴的な適用は，Koller KC（1929）が低位咬合患者に弾性ゴム床（歴史的蒸和ゴム：kautschuk製）の暫間挙上床を数週間装着させたあとに欠損補綴を開始した，と記載がある．欠損歯列の分類で著名なKennedy E（1942）は，欠損補綴に際して低位咬合を生じた患者に，術前の顎間関係をMonson咬合器にフェイスボウマウントし，「暫間的咬合挙上装置」「temporary bite raiser」として鋳造性の挙上スプリントを適用する技法を示している．Kazis H（1943），Koller KC（1943），Elbrecht（1950）らも，低位咬合患者に弾性ゴム床（kautschuk製）の暫間挙上床の適用を記載した．レジンスプリントの登場【1959年〜】1960年代以降は暫間挙上床の素材にアクリルレジンが使用され始め，Shore（1959）はレジンスプリントを上顎へ，Schweizer JM（1964）は下顎臼歯列へ適用する義歯型のレジンスプリントを発表した表1　補綴治療に必要な「咬合挙上」の歴史．発表年著者文献咬合挙上の目的，方法1902（史上初）Karolyi MBeobachtungen über Pyorrhoea alveolaris und Caries dentium. Öster Ung Vierteljahrsschr Zahn-heilkd 1902; 18: 520-526.【目的】歯周治療：咬合性外傷予防，咬合挙上．【方法・材料】暫間治療法を適用，材料はゴム床（Provisorium aus Kautschuk）．1929（補綴治療初）Koller KCAbnehmbare Brücken und gestützte Prothesen. Berlin: Meusser, 1929 : 14-15.【方法・材料】弾性ゴム床（Provisorium aus Kautschuk）を数週間装着．1942Kennedy EPartial Denture Construction. Planning and Tret-ment for Bite Raising. Chap XI I Bite raising. New York : Dental items interst publishing, 1942: 215.【方法・材料】Monson咬合器，Temporary Bite Raiser，Cast Gold Splintを使用．1943Kazis HPlanning and Tretment for Bite Raising. Dental items of interest publishing: 64-75　＊p41後の「安静空隙」を咬合挙上に利用について言及【方法・材料】temporary cast Nobilum bite plane with clasp. 　indirect & direct method on face bow mounted articula-tor. ＊期間記述なく，暫間とのみINTRODUCTION　これまでに発表・実践された咬合挙上法，挙上量の評価法INTRODUCTIONこれまでに発表・実践された咬合挙上法，挙上量の評価法　咬合高径を挙上，咬合平面の是正が必要なケースでは，大がかりな修復・補綴が必要となるが，患者の違和感などもみられることもある．そこで，これまでにさまざまな咬合高径の挙上法，咬合高径の挙上量を診断する方法，また，その咬合高径が適性か判断する方法が呈示・実践されてきた．どのような方法が提案されてきたのか，それらの方法をオーバービューしてみよう．