インプラントオーバーデンチャーの臨床とエビデンスQ&A
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210210インプラントオーバーデンチャーにおけるインプラントの役割を明確にするとともに,可能な限り早期に実施することが望ましいが,状況に応じて段階的に進める.A.Q.54固定性上部構造からインプラントオーバーデンチャーへ改変する場合の注意点と時期は?固定性上部構造を撤去しアバットメントを交換してIODとする場合 クラウン-インプラント比が1:1以下(たとえば1:0.5など)で不利な条件であり,それ以外の支台歯とともに大きな四角形を構成できるのでなければIODの適応を考える1.この場合,インプラントの数ならびに位置が義歯床の回転軸を決定し,アタッチメントの選択の要件となり,さらにリリーフの設定位置と量を決定する(図1).(アタッチメントの選択とリリーフの位置・量は別項を参照のこと).1)顎堤弓のどの位置にインプラントが存在してもIODの設計は可能 図2では左右対称にインプラントが減少した場合を示しているが,現実にはどの部位が変化するかさまざまである.しかし,図1に示したように,残存するインプラント間を結んだ回転軸を考えることで対応は可能である.2)インプラントの役割を考える 残存するインプラントの状態によって,維持,支持,把持のどの役割をもたせるかを明確にしておくべきである.たとえば,上顎前歯部にインプラントが残った場合,インプラントの埋入方向は咬合面に対して著しく傾斜していることになり,これに大きな維持や把持を求めることは得策とはいえない(図3)2.このような場合には側方力が加わっても,それを容易に逃がすことのできる磁性アタッチメントなどで維持のみを求めることになる.動きとリリーフの関係図1 残存するインプラントの位置と数により,回転軸の位置が決定されるので,その動きを許容できるように支台と床とはリリーフを設ける必要がある.7章 ライフステージに合わせた上部構造(固定性から可撤性への移行)

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