今さら聞けない歯科用CBCTとCTの読像法
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歯科臨床において遭遇する代表的疾患の歯科用CBCT画像およびCT画像4 う蝕をエックス線画像で透過像として観察するためには,脱灰した部分と正常歯質との透過性にある程度の差異が必要です.したがって,脱灰の程度が低いか脱灰の範囲が小さい場合には,透過性の差をエックス線画像上で描出することは不可能です. 通常30~50%以上の脱灰が生じたとき,描出が可能となるのです.そのため脱灰の低い初期のう蝕は検出できず,また,う蝕の大きさは過小評価されることがあります.小児う蝕や初期う蝕がエックス線画像上で検出されないのはこのためなのです. 図4-1に下顎左側大臼歯部の冷水痛を主訴に来院した16歳女児のパノラマエックス線画像を示します.このパノラマエックス線画像からは下顎左側大臼歯部に明らかな異常は指摘できません.しかし図4-2に示した歯科用CBCT画像からは下顎左側第一大臼歯遠心部の象牙質内に正常像と比較して明らⅠう蝕abcdef図4-2a~f 図4-1と同じ患者の歯科用CBCT画像.a:下顎歯冠レベルのaxial像.b:下顎大臼歯レベルのcoronal像.c:下顎大臼歯部のpanorama像.d~f:a~cの解剖図.歯科用CBCT画像では下顎左側第一大臼歯遠心にう蝕によるlowdensityareaを認める(矢頭).■う蝕が認められないパノラマエックス線画像図4-1 下顎左側第一大臼歯におけるう蝕のパノラマエックス線画像.このパノラマエックス線画像からは下顎左側第一大臼歯に明らかな異常は認めない.■Low density areaを認めた歯科用CBCT画像66

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