今さら聞けない歯科用CBCTとCTの読像法
3/6

3上・下顎骨において見落としやすい正常および亜型(normal variation)の歯科用CBCT画像 前述してきたように頭蓋骨および顔面骨は複雑ですが,歯科用CBCT画像を用いれば,その詳細まで評価することができます.そのため,それぞれの正常構造物に対する亜型(normalvariation)を認め 上顎洞周囲の脈管は上顎洞を取り囲む骨壁に沿って走行していて,上顎臼歯部の歯科用CBCT画像上に描出されることが多いです.上顎大臼歯や歯肉に分布する後上歯槽動脈は翼口蓋窩の付近から上顎洞後壁を類円形のbonedefectareaや陥凹の形態で走行しています(図3-1). 一方,上顎骨の前方部では上顎洞前壁を類円形のbonedefectareaや陥凹の形態として走行する眼窩下動脈(前上歯槽動脈を分枝)に遭遇することが多いです(図3-2).この脈管は翼口蓋窩から眼窩下管を通って眼窩下孔から顔面に交通するものです.眼窩下動脈(前上歯槽動脈を分枝)は上顎小臼歯部や犬歯部だけでなく,上顎前歯部の歯および歯肉に分布ることが多いことを認識しておく必要があります. この章では前章と重複する部分もありますが,亜型を念頭において再度復習してみましょう.しています.前上歯槽動脈と後上歯槽動脈は一部吻合しています1.口蓋粘膜に分布する脈管は大口蓋動脈であり,翼口蓋窩から大口蓋管を通って大口蓋孔から骨口蓋に走行する管状のbonedefectareaとして観察されます(図3-3). その後方には前述した小口蓋管および小口蓋孔がbonedefectareaとしてみられ,この内部を通る脈管が小口蓋動脈です(図3-3).この脈管は臼後部ならびに軟口蓋に分布しています1.翼口蓋窩からは蝶口蓋孔を通って鼻腔に交通する脈管様bonedefectareaもみられます(図3-4).同脈管は蝶口蓋動脈と呼ばれ,鼻腔外側や鼻中隔に分布しています.Ⅰ正常構造物に対する亜型Ⅱ上顎洞周囲の脈管や神経■上顎後方部の脈管と神経および後上歯槽動脈(矢印)図3-1a~c a:上顎後方部の歯および歯周組織に分布する脈管および神経の解剖図.b:後上歯槽動脈の走行を示す歯科用CBCT画像(上顎洞中央レベルのaxial像).c:bの解剖図.後上歯槽動脈は翼口蓋窩から歯槽孔を通って上顎洞後壁を構成する骨内を走行し,上顎大臼歯や歯肉に分布する.歯科用CBCT画像上では上顎洞後壁部を走行する管状のbonedefectareaとして認められる(矢印).abc上顎洞56

元のページ 

page 3

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です