今さら聞けない歯科用CBCTとCTの読像法
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歯科用CBCT画像の読影方法に関する基本的考え方 歯科用CBCTは画像データを1つのボリュームでコンピュータ中に蓄積し,multi-planar reconstruction(MPR)法を用いてさまざまな断層面(裁断面)として描画します.通常,歯科用CBCTのデータに付属しているソフトウエアではaxial像,panorama像およびcross section像が表示されます(図1-1).それらの画像をすべて読像すると4×4cm程度の撮像領域でも,かなりの枚数になります.そのため,読像者は基本的に患者の主訴(主に読像者の関心)を自分 図1-1に示したように歯科用CBCTの断層像として主に使用するものはaxial像,panorama像およびcross section像です.これらのなかで,撮像時患者の位置をほぼ一定に保つことでaxial像は大体同一のものを得ることができます.また,全身用CTやMRIでも撮像領域全体を把握するためにはaxial像で評価することが一般的です.のもっとも見慣れた画像で評価しがちですが,それ以外の断層画像でも補足診断を行うべきです. ただし実際,多くの断層画像には患者の主訴や読像者の関心領域(読像者が病変の存在を疑う領域)以外にも描出されていますから,それ以外の領域は見落とされたままになっている場合が少なくありません.本章では描出領域の見落としを少なくする歯科用CBCTの一般的な読像法を解説していきます. したがって,読像を行う際にはまずaxial像を画面に映すことからスタートする習慣を身につけると良いでしょう(図1-2).もちろん,根尖部歯根膜腔のわずかな拡大など,頭尾方向の変化はaxial像ではわかりにくく,多くの場合,panorama像およびcross section像のほうが優位でもあります.その際には,歯科医師が見慣れているパノラマエックス線画像と図1-1a~c 歯科用CBCT画像を読像する際の一般的な断層面.歯科用CBCT画像を読像する際に用いる断層面にはa:axial断層によるリファレンス画像,b:panorama像,およびc:cross section像が挙げられる.■歯科用CBCT画像を読像する際の一般的な断層面Ⅰ関心領域以外も読像するⅡ読像するうえでの基本はaxial像abc8

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