女性患者さんを診る
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第5章悪く施術した歯科医院を受診しました.しかし,根本的な解決はないとの説明を受け,インプラントを除去してほしかったのですが,治療できないものと思い込み,歯科受診しないまま10年以上我慢していました. 口腔ケアのときに痛がって拒否し,腐敗臭,摂食障害があることから訪問診療をすることになりました.図5-17に初診から義歯完成までの経緯を示します.症例6:デイ・ケアの口腔機能向上プログラムにより義歯が使用できるようになった 患者は92歳の女性.義歯不適合と疼痛を訴えていました.口腔内の状態は口輪筋の萎縮により義歯の着脱の際,たびたび口角が切れこれが疼痛の原因でした.また筋力低下し義歯頬側に食物残渣が多くみられました(図5-18a,b). そこで,義歯の洗浄,口腔内の清掃に加えて(図5-18c,d),患者自身による「うがい」(図5-18e,f)も取り入れて,口腔衛生管理の改善に努めました. さらに,義歯の厚みを薄く,入れやすい形状にし,毎日通っているデイ・ケアのスタッフに指導し,口腔周囲のマッサージ・ストレッチを継続的に行ってもらったところ,最初は痛みを訴えていましたが,徐々に改善し義歯の着脱も容易になりました.症例7:口輪筋が委縮してしまった また症例7は,口から食べることができなくなり,義歯を長期間わたり使用しなかったために,口輪筋が委縮してしまった患者です(図5-19).口腔の諸機能を維持するために何らかの対応が必要となる症例です.症例6図5-18c~f 口腔内にも食物残渣が多量にあるため義歯のみの洗浄だけでは不十分で,c,d:スポンジブラシによる清掃や,e,f:患者自身による「うがい」よる清掃訓練も必要である.cdef図5-18a,b 筋力低下し義歯頬側に食物残渣が多くみられた.ab126

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