女性患者さんを診る
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第3章症例1:つわりが原因の酸蝕症18 初診時所見 患者は36歳の主婦.妊娠8か月(第3子).初診日は2009年2月.現病歴は妊娠初期からつわり症状がひどく,食べては吐くことを繰り返していたとのこと. 初診時においても,つわりは解消せずに,嘔吐を繰り返し,歯磨きが十分にできない状況が続き,そのため口腔内の違和感や口臭,さらに食いしばりも自覚していました. 患者は重いつわり症状のため,かなりのストレスを感じ,夜もよく眠れない日があり,来院の数週間前から,上顎前歯部の冷水痛が著しくなったため,同部の精査を希望し,産婦人科医院(三宅医院・岡山市)に併設されている当院(ハロー歯科)を受診しました. 特記事項は過去2回の妊娠時(24歳,27歳時)にも時期妊娠4~7週頃に始まり,12~16週で自然に終わるとされているが,それ以降も継続する場合もあり,個人差が大きい.頻度妊婦の50~80%症状悪心・嘔吐・食欲不振・胃もたれ・嗜好の変化,唾液量の増加,全身の倦怠感,眠気,頭痛,心理的不安定(個人差が大きい).食物摂取が困難となり,治療の必要となる状態になったものを妊娠悪阻という.原因内分泌や代謝面の急激な変化が原因となり,自律神経失調を主とする精神的・心理的因子が誘因となって発生すると考えられるが,つわりの発生機序は不明である.また毒素となる食物を排除する目的のためという説もある.対策好きなものだけでも良いので,水分と食事の摂取を心がける.臭いが気になる場合は食物を冷やしてから食べてみる.枕元にクッキーなどをおいて,低血糖を防ぐ.ある程度のむかつきや吐き気は妊娠初期の自然現象なので,あまり気にしないように心がける.趣味など集中できることをみつける.生姜が嘔気症状の改善に効果があるとされている.表3-3 つわりとその対策(参考文献16より引用改変)表3-4 つわり時の嗜好の変化(参考文献17より引用改変)順位食べたい食物苦手な食物苦手な場所・臭い1トマトごはんタバコ2フライドポテトにんにくキッチン3スイカコーヒー生鮮品売り場4リンゴマーガリン冷蔵庫5グレープフルーツ肉類歯磨き粉その他炭酸飲料タマネギほかに魚類香水ほかに化粧や整髪料の臭い※タバコ,にんにくなどの口臭や香水・化粧などは歯科医療従事者も気をつけるべきである.鮮 魚60

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