99%保険治療でも他院に負けない 予防を超える与防歯科
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61 第3章 歯科医療の問題点はここにある 予防が大切といいつつも、保険医療の現場でそれが実行できない理由をご存知ですか? わかりやすいように、歯科におけるクリーニングを例に、保険適用について考えてみましょうか。もしも患者さんが「クリーニングだけをお願いします」といってきた場合は、どうなりますか? 答えは、保険適用外、つまり100%自費診療になりますね。 ここで首をかしげている方は、以下をしっかりと読んで頭に叩き込んでください。 健康保険の適用を受けるためには、まず患者さんからの主訴があり、それに伴って歯科医師による歯周病か歯肉炎の診断が必要になります。 どんなにキャリアがある歯科医師でも、診断するためは、見た目だけでなく根拠が必要です。つまり、歯周ポケット等の測定をしないと、保険の適用にはならないのです。 このルールは、厚労省が作っているものですから、どんなに腕の立つドクターであっても、国内では逆らうことはできません。 しかも、クリーニングという保険用語はなく、歯科医師が測定値などから判断し、歯周病と診断した場合にかぎり、口腔衛生指導やスケーリングを初期治療として健康保険のルールの中でできるのです。 医科においても、がん、心疾患、肺炎ではない健康な人に対して、将来発症するかもしれない疾患だからという理由で、健康な人に健康保険の範囲の中で疾病に対する指導を行うことは、できないのです。 そうなると、健康な方が疾病予防の指導を受けることは、健康保険では不可能となるのです。もっとも健康な人は、用もないのに病院へは行きませんが。 実はそれこそが、私たち歯科医師にとってむしろチャンスなのです。この時点で、自分たちが何をやればよいか100%イメージができた方は、発明家の素養があります。 では、ヒントをひとつ。ギネスブックに掲載されている世界で一番多い疾病名は何でしょうか? そうです。歯周病ですよね。36保険適用の複雑なカラクリ 「ドクターによって病気と診断されて始めて保険医療となる」のが、今のシステムだからです。

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