逆根管治療の神髄
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32図19a,b 初診時のCBCT像.透過像は大きく,上顎洞前壁の骨は吸収されている.図19c 骨を探針で穿通すると排膿がみられた.図19d 軟組織を骨から剥すように除去する.図19a図19b上顎左側小臼歯部/根管治療後も症状の改善なしCase2図19e,f 根尖を切除した後,断面をメチレンブルーで染色し,歯根破折がないか観察する.図19e図19f図19c図19d 患者は40歳代男性.患歯は₄₅.前医により通法の根管治療を受けるも症状の改善がなく紹介を受ける.根炎部透過像は大きく,上顎洞前壁の骨は吸収されている(図19a,b).逆根管治療による治療を試みる. フラップを開けて骨吸収の範囲を探針で探る.骨を探針で穿通すると排膿が見られた(図19c).骨を開窓後,病変部はやみくもに掻爬するのではなく,軟組織を骨から剥すように除去する(図19d).とくに上顎洞に近接した骨吸収部は無理に掻爬しない.病変部の完全な掻爬はこの手術の目的ではなく,必要ではない11. 根尖を切除した後,断面をメチレンブルーで染色し,歯根破折がないか観察する(図19e,f).₅は1根管であるが,₄は2根管でイスムスが観察される.根管,イスムス,必要があれば側枝をも超音波レトロチップで根管拡大し,MTAにて逆根管充填を行う. 逆根管治療直後のデンタルエックス線写真(図19g)では₅遠心,上顎洞前壁の骨は吸収されている.術後6か月のデンタルエックス線写真(図19h)では吸収していた上顎洞前壁の骨に再生が見られる. 術後1年のCBCT像(図19i)では根尖周囲,上顎洞前壁の骨が再生しているのがわかる.

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