誰も語らなかった歯科医療紛争の真実
2/6

 日本歯内療法学会のホームページ(http://www.jea.gr.jp/)によると、歯内療法とは「歯の根の中の管(根管)に関する治療」を言い、一般には「歯の内部(神経)の治療と言われ、歯を支える土台としての根(根管)の処置」であることから、別名根管治療とも呼ばれています。 歯髄がう蝕や外傷により細菌感染を受ける場合には、その歯を救いつつ、さらにそれを長期間にわたり機能させようとするとき、歯髄の一部または全部を除去して歯を残す治療法が採られます。このような治療法は歯を残存することにより、患者のQOLを維持できることからとくに重視され、そのための医療技術(手技)への研鑽と、その必要性についての患者への説明が歯科医師には強く求められることになります。したがって、保存治療をめぐる歯科医療紛争は絶えることがありません。 裁判例でも歯内療法は補綴と関連して取り上げられることが多く、また歯内療法や根管治療という表現が並行して使われています。原告の患者は2001年8~10月にかけて被告歯科医院にて上顎前歯部の補綴治療・矯正治療を受け、その際3─3に根管治療が行われたその後、クラウンの脱離、疼痛、腫れなどから他院を受診し、さらに別の根管治療専門医を紹介受診したところ、処置した歯が根尖性歯周炎に罹患しているとの診断を受けた被告の歯科医師が行った治療における根管充填が不十分であったことから根尖性歯周炎が発症したとして、224万1,310円の支払いを命じる上顎前歯部に不適切な根管充填が行われ、根尖性歯周炎を引き起こしたとして損害賠償が認められた事例事 例 A原告の患者は1999年2~11月にかけて、ブリッジの再製作に際し、被告医院にて6の再根管治療、8の抜髄および根管治療を受けた2002年、他院にて6を抜歯したが、その際近心根の根管側壁の一部に穿孔が認められた6の根管治療により穿孔が生じ、8に不要な抜髄と根管治療から行われたとして歯科医師を提訴穿孔を生じさせた疑いがあるものの損害は発生していないとして、患者の請求を棄却下顎臼歯への根管治療により穿孔の疑いはあるが、損害が発生したとは認められないとして請求が棄却された事例事 例 B|P a r t 3|歯内療法後に医療紛争が 発生した事例賠償請求が認められたケース/認められなかったケースP a r t 1P a r t 2P a r t 3P a r t 4P a r t 5P a r t 6P a r t 7P a r t 8P a r t 9P a r t 10歯内療法後に医療紛争が発生した事例  33

元のページ 

page 2

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です