チームマネジメントのための行動科学入門
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基礎編コミュニケーションの意味するもの 通常の会話の中で、わたしたちは普段はコミュニケーションを意識していません。 自分のコミュニケーションをとくに意識しなくてはならないのは、たとえば、試験の面接、大勢の聴衆の前でスピーチをしなくてはならないときなど、ある特殊な環境に置かれて、プレッシャーを感じたときにはじめて、その難しさを認識します。 「何をしゃべればいいのか?」 「ちゃんと言いたいことが相手に伝わるのだろうか?」 「予想外のことを訊かれたらどう答えればいいのか?」などです。 コミュニケーション(communication)2を、辞書にあるように「社会生活を営む人間が互いに意思や感情、思考を伝達し合うこと」と、定義付けをすると非常に簡単に聞こえます。 しかし、それほど簡単でもありません。 コミュニケーションは、話し手(伝え手)がいて聴き手がいて、さらに、共通の手段があって、はじめて成立するものだからです。 なぜなら、共通の言語3や概念がなければ、お互いの意思の疎通をすることができないからです。 たとえば、共通のコミュニケーション手段を得るために、苦労して英会話なども勉強します。 しかし、もし、その概念が根本から違っていたら。 わたしたちが暮らしていくうえでは、たくさんの人とかかわっていきます。 チームを組み、ときには、後輩や部下ができ、やがて、あなたがリーダーシップを取らなくてはならないこともあります。 そんなコミュニケーションの深い部分を、紐解いてみたいと思います。2コミュニケーションを意識するとき志望の動機は?Presentation2 コミュニケーション(communication)は、「考えや意思、情報を、ときには感情を交えて伝達をする」こと。動詞ではコミュニケート(communicate)になるが、「分かち合う」などという意味もある。語源はラテン語で、「共通したもの」という意味のコミュニス(communis)と、「共有物」という意味のコモン(common)であるといわれている。そこから、コミューン(commune)という言葉も派生。「親しく交わる」「公共の」「共同体」などという意味。3 聖書の有名なバベルの塔の物語「人々が、天に届けと高い塔を作ろうとしていました。それを見た神様は、人々の思い上がりを感じてしまいました。そこで、みんなの言葉を変えてしまったので、お互いのコミュニケーションが取れなくなってしまいました」(旧約聖書「創世記」11章1〜9節)。この逸話からもわかるように、コミュニケーションには、「共通の」コミュニケーション・ツールが必要なのです。9

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