オーラルメディシンに基づいた次世代の歯科診療
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 ヒトは恒温動物であり,つねに体温を一定に保っています.日本人の成人腋窩温は36.9℃1ですが,炎症性疾患やウイルス性疾患に罹患しているときなどには体温は上昇します. 歯科診療所で対応可能と思われる程度の智歯周囲炎でも,体温が37℃と39℃の場合ではその対応は異なります.37℃であれば「抗菌薬の投与と必要に応じて切開排膿…」といったように通常の対応でも構いませんが,39℃のときには炎症が重症化しつつある危険性を考え,高次医療機関に検査と診療を依頼すべきです.言い換えれば,体温測定をしないで,処置すると急に症状が重篤化することがあります. 急性の化膿性炎であれば,1日単位どころか,数時間単位で病状は変化します.高温で熱いといっていた患者が,突然,寒いと訴え始め,振戦が生じることもあります.いったい何が原因なのでしょうか.●なぜ体温測定を行うのか?Section1.診療室に入る前に①体温測定をしてもらっていますか?Chapter222

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