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81炎症/歯性上顎洞炎Chapter1全身疾患への対応妊娠・授乳婦アモキシシリン水和物(サワシリン®) 1錠250㎎ 1回1錠 1日3回  毎食後 5日分アセトアミノフェン(カロナール®) 1錠200㎎ 1回1錠 疼痛時 3回分 妊娠中の抗菌薬はペニシリン系やセフェム系が第1選択で,マクロライド系ではアジスロマイシンやクラリスロマイシンは安全に投与できる.ニューキノロン系は,添付文書上は投与禁忌とされている. 授乳中の抗菌薬は,母乳に移行する量はほんのわずかではあるが,妊婦に注意が必要な薬剤は避ける. 妊婦に対する鎮痛薬の第1選択はアセトアミノフェンである.NSAIDsは,添付文書上は投与禁忌とされている. 授乳中の鎮痛薬で,NSAIDsは,乳汁移行率が低いとされているので過度の心配は不要である.高齢者 選択薬がペニシリン系やセフェム系であれば腎機能により1日の投与量,投与間隔を決める.マクロライド系では肝機能をみて決める.アモキシシリン水和物(サワシリン®) 1錠250㎎ 1回1錠 1日3回  毎食後 5日分クラリスロマイシン(クラリス®) 1錠200㎎ 1回1錠 1日2回  朝・夕食後 5日分 鎮痛薬は,他院からの内服薬を確認し,相互作用をみて判断する必要がある.アセトアミノフェン(カロナール®) 1錠200㎎ 1回1錠 疼痛時 3回分投薬の背景 歯性上顎洞炎のうち,発症から4週間以内のものが急性期と定義されている.急性副鼻腔炎では,肺炎球菌やインフルエンザ菌が主要起炎菌であるが,歯性上顎洞炎では嫌気性菌優位の混合感染である.したがって抗菌薬は,β-ラクタム系抗菌薬が第1選択薬となる.そのほかに消炎酵素薬・粘液溶解薬を併用する.疼痛を伴う場合は消炎鎮痛薬を併用する. 一方,慢性歯性上顎洞炎では14員環マクロライド系抗菌薬(クラリスロマイシン)の少量長期投与が有効とされている.投薬のポイント急性期で臨床症状が重篤な場合注射用セフトリアキシンナトリウム水和物(ロセフィン®静注用)1g 1回1バイアル1日1~2回 3日 点滴静注を行う.慢性炎症の場合 14員環マクロライド系抗菌薬を投与するが,少量長期投与は通常量の50~80%程度を数か月投与する. 消炎酵素薬や粘液溶解薬の併用は有効で,急性期では鎮痛消炎薬の併用も必要となる.見逃せない副作用,相互作用 マクロライド系抗菌薬(クラリスロマイシン)は,統合失調症小児の自閉性障害薬(オーラップ®),片頭痛疾患薬(ヘクト・M錠®,クリアミン®,ジヒデルゴット®),前立腺肥大症の排尿障害薬(ザルティア®)は併用禁忌である.

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