咬合 YEARBOOK 2016
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86別冊 the Quintessence「咬合YEARBOOK 2016」4インプラントの咬合論はじめに インプラントの上部構造に対して付与する咬合に関していくつかの考え方が提唱されてきてはいるが,Taylor1,松下ら2が述べているようにそれらは十分な科学的な根拠に基づいたものではなく,臨床的な立場から生み出されてきたものが多い.したがって,Brånemarkがオッセオインテグレーションを提唱してからすでに半世紀にならんとしている現在,多くの長期症例と経年的な観察結果が存在する中で,それらの考え方も少しずつ変化してきていると思われる. ここでは理論編として,以下の2点に関して,現時点でのインプラントの咬合を研究の側面から考えてみたい.1. 各文献・文献レビューに おける記述の変遷文献における記述の変遷1)保母らの文献(1988)から インプラントの咬合に関しては,オッセオインテグレーションがわが国に紹介されてから間もなく,保母ら3が「インプラントにおいては咬合圧をなるべく垂直方向にまとめ,側方力圧を減らすべきである」として表1のように提唱している. また2006年に出版された『インプラントの咬合』4では,インプラントの咬合の基本コンセプトについて表2のように述べている.2)Mischらの文献(1994)から Misch,Bidezらは「インプラント・プロテクティッインプラントの咬合論長期症例をふまえて考え方はどのように変化したか1前田芳信Yoshinobu Maeda大阪大学大学院歯学研究科顎口腔機能再建学講座有床義歯補綴学・高齢者歯科学分野連絡先:〒565‐0871 大阪府吹田市山田丘1‐21.各文献・文献レビューにおける記述の変遷を年代別に再考する.2.インプラントの咬合と天然歯の咬合に関して,再考すべき差異を示す.

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