マイクロデンティストリー YEARBOOK 2015/2016
6/6
112症例4:軟組織の移動にて対応~結合組織移植 患者は60代,男性.₄の歯根破折のため保存不可能と診断し,インプラント治療を計画,施術.抜歯即時にてインプラントを埋入した(図24).インプラント埋入より4か月後(図25),頬側の厚みの不足を補うために口蓋粘膜下より結合組織を採取し,頬側に部分層弁にてエンベロップを形成し結合組織を挿入した.移植片を固定するため弁と移植材を8-0の縫合糸にて縫合固定(図26).インプラント埋入時に製作,装着していたテンポラリーカスタムヒーリングキャップを再度装着.術後2か月のヒーリング期間を経てインプラント周囲に充分な厚さの軟組織が獲得されていることを確認し(図27),最終上部構造の印象を行い補綴物を装着した(図28). 補綴装着後3年5か月経過時の状態を見ると,前後の天然歯における頬側の歯頸ラインが退縮してしまっているのが確認できる(図29).それに対してインプラント部位の歯頸ラインにはほとんど変化が認められない.頬側軟組織退縮の原因はいろいろ考えられるが,インプラント部頬側のみ変化が起こらな症例4図24 初診時咬合面観.図25 埋入後,咬合面観.図28 最終補綴装着時側方面観.図27 ジルコニアアバットメントの試適,頬側に充分な厚みが確保されている.図26 結合組織移植後,咬合面観.同側の口蓋より採取し8-0で固定.図29 インプラント部のみ歯肉退縮は起きていない.24262527別冊the Quintessence 「マイクロデンティストリー YEARBOOK 2015/2016」PART3 new topicsマイクロスコープの有効活用
元のページ