マイクロデンティストリー YEARBOOK 2015/2016
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97の発見率が肉眼では73.2%であったのに対し,マイクロスコープを用いると93.0%に上昇したと報告し,Buhrleyら4も同様にその発見率が17.2%から71.1%に上昇したと報告しており,マイクロスコープの有用性が明らかにされている.また,Ibarrolaら5は根管口を覆う後から添加した象牙質を超音波チップなどで切削し,根管を探索することが重要であると述べている.しかし,マイクロスコープや超音波を用いても,すべての第二根管を発見することは困難である6.また第二根管の出現位置に関して,Kulildら7は近心頬側根管の平均1.8mm口蓋側よりに出現すると報告している.本症例においても近心頬側根管の約2mm口蓋側よりに第二根管が認められた(図4,7,8). 根管形態は,根管口の数と根尖孔の数の組み合わせで,以下の4つに分類されている8.・TypeⅠ(1根管口1根尖孔のもの)・TypeⅡ(2根管口1根尖孔のもの)・TypeⅢ(2根管口2根尖孔のもの)・TypeⅣ(1根管口2根尖孔のもの) Weineらは上顎第一大臼歯の近心頬側根の根管形態に関する報告をまとめて,TypeⅠが29~49%,TypeⅡが12~38%,TypeⅢが14~39%,TypeⅣが0~13%と報告している9.本症例において近心頬側根は根管口から根尖孔まで完全に分離している2根管口2根尖孔のTypeⅢであった(図6,11).また,上顎大臼歯が2つの口蓋根を有する症例報告もなされている10,11.本症例のように術前のエックス線写真で口蓋根が明瞭でない場合には4根を疑ってみる(図2).3根の場合には口蓋根が明瞭に観察できる(図3).4根の場合,口蓋側に2根があることが多いので,髄室開拡の形態は正方形に近い形態に図8 ₆の根管充填直後の口腔内写真.図9 ₆の根管充填後のデンタルエックス線写真.図10 ₆の根管充填後のCBCT画像.別冊the Quintessence 「マイクロデンティストリー YEARBOOK 2015/2016」マイクロスコープとCBCTを用いた4根5根管性上顎第一大臼歯の歯内療法

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