必ず上達 GUMMETAL 矯正歯科治療
3/6

24CHAPTER 2歯の一括移動に必要なテクニックマルチブラケットのみが有効な方法か いわゆる早期治療、あるいは一次治療と称される成長発育期の矯正歯科治療は、機能的な永久歯咬合の確立を目指す矯正歯科治療全体の中で、いかに位置づければよいのでしょうか。筆者の経験では、早期に動的治療を開始することが、マルチブラケットを使った二次治療を不要にするわけではありません。実際に早期治療が効果的に目的達成された例にしても、マルチブラケット治療を経て咬合確立する例が大部分を占め、二次治療を省略できる症例は「偶然による僥倖」といってもいいくらいです。 それでは、早期治療そのものを「無効」として、すべてをマルチブラケット治療に委ねるべきなのでしょうか。決してそんなことはありません。的確になされた早期治療は、歯と顎骨の関係や上下顎間関係を大幅に改善し、マルチブラケット装着期間を劇的に短縮することができます。機能障害とバーティカルコントロールを同時に可能にするGUMMETAL AngleⅡ級であれⅢ級であれ、成長期の不正咬合に占めるいわゆる骨格的な要因、つまり劣成長あるいは過成長といった骨格のサイズそのものに原因するもの、ある成長期の矯正歯科治療におけるGUMMETALワイヤーの活用法いはいわゆる遺伝的要因に帰結するものは実は少数で、何らかの機能障害に起因する下顎の回転、ないし誘導による位置異常で説明できるものが大多数です。つまり、たとえばA-B関係に大きな不調和があるにせよ、成長発育期を通じた機能障害によって誘導されているに過ぎないことが多いのです。これはすなわち、機能障害からの開放と咬合平面のバーティカルコントロールを同時に施して顎位そのものを変更することで、大部分の骨格的不調和を改善、あるいは解消することが可能ということです。 そこで本項では、GUMMETALワイヤーのすぐれた特性を活かした混合歯列期の矯正歯科治療を主眼とした装置と治療法について提案します。・ユーティリティアーチ 前述のように、機能障害を可及的早期に解決することが、不正咬合における骨格的要因を低減し、治療期間の短縮やより完全な機能咬合に直結します。本項で紹介するユーティリティアーチは、上顎大臼歯と前歯を選択的にバーティカルコントロールして顎位の改善を図ることを目的とし、混合歯列期の治療にはきわめて有効であると同時に、マルチブラケット法におけるバーティカルコントロールの原理を理解するのにも大変に役立ちます。2. バーティカルコントロール◦前歯・臼歯に対しそれぞれ異なる方向に矯正力をはたらかせるバーティカルコントロールを習得するためには、ユーティリティーアーチのベンディングと、その屈曲部の角度調整で原理を理解しましょう。◦GUMMETALワイヤーのしなやかさと剛性を活用して前歯と臼歯を同時に移動させることで、迅速なディスクレパンシーの解消と咬合平面の変更に基づく顎位の改善を図ります。

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です