臨床家のための矯正 YEARBOOK 2015
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ディングスペースを得るためにアライナー歯茎部を切り取って使用する(図6).カリエールモーションのサイズ選択 カリエールモーションには左右それぞれ12mmから34mmまで23種のサイズがあり,各症例に合わせることができる.サイズの選択は装置をボンディングする大臼歯の中心(頬面溝)から犬歯または小臼歯の歯軸の中心までの距離を計測し,選択される(図7).ノギスでの計測を推奨するが,付属のスケールで計測も可能である.0.5mmの範囲内であれば,アーム部の曲げ伸ばしにより調整もできる.製品②機能訓練矯正装置 「EFline」 2003年フランスのDr. Daniel Rollet(図8)によって開発された機能訓練矯正装置「EFline」は,ヨーロッパで高い評価を受けている.材質がソフトで異物感が少なく,口腔内の装着感に優れている.下顎口腔前庭部に“リップバンパー”があり,下唇の機能亢進をともなうⅡ級不正咬合や過蓋咬合の治療において,筋訓練を効率的に行うことができる.EFlineは,機械的な作用力のみで不正咬合を治療するものではなく,舌位異常,舌突出癖,習慣性口呼吸,口唇癖,口唇の機能亢進,無力唇などの機能的諸問題の教育・訓練に使用し,形態と機能の相互関係に作用して本来の正常な成長を促進するものである.使用には的確な矯正診断と症例に応じた装置選択が求められる.「EFline」の装置の構造と機能①ツインスプリント 上下顎のツインスプリントは,口腔周囲筋の干渉を和らげ適切な歯列の配列を促す.さらにいくつかの装置においては,前歯部に付与されたティースシェイプガイド(歯形)が本格矯正治療前の前歯のレ図4図5図6図7図4 リンガルアーチをアンカーとし,下顎歯列へのエラスティックの影響に対抗する.図5 アライナーを作成し,下顎歯列全体をアンカーとする.図6 アライナー臼歯部頬面側をカットし,アタッチメントを付ける.図7 大臼歯側から犬歯および小臼歯の中心までの距離を計測する.図8 Dr. Daniel Rollet.図9a~d EFlineの装置と構造.a:ツインスプリント,b:リップバンパー,c:タンランプ(舌ガイド),d:臼歯部バイトプレート.a ツインスプリントb リップバンパーc タンランプ(舌ガイド)d 臼歯部バイトプレート135臨床家のための矯正YEARBOOK 2015オーソデントラム

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