口腔ケア 歯科衛生士の役割を問う
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図6-10 輪読会。722知識の修練 私がもっとも力をいれて研修していること、それがこの知識と技の修練(トレーニング)です。知識については私の力などしれたもの、大学や専門学校の先生のような学識は持ち合わせておりませんから、あくまでも臨床を主体とした気付きや学びの方向性を教えています。ここでは歯科衛生士2年目のケースプレゼンテーションを載せましたが、タイトルどおり「患者さんから学ぶこと」、私にとっても一番の先生は「患者さん」です。(1)OJT(On the Job Training) OJTとは、仕事上で直接に指導にあたる現場指導(教育)のことですが、広義には、現場で仕事をしながら知識や技術を身につけていくことともいわれているようです。 歯科衛生士の仕事を指導的立場からみるとき、OJTは貴重な研修だと実感しています。仕事の記録を残すことであり、結果を問うことである症例作成とはまた違った効果が期待できます。 歯科衛生士のOJTの手順は以下のとおりです。❶患者に自分がこの医院で歯科衛生士の指導に 入っていることを告知しておく(受付などに、 顔写真やプロフィールなどとともに、歯科衛生 士の指導者であることをポスターなどにして掲 示)❷OJTを受ける歯科衛生士は、その患者の概要 や経過、特にOJTで指導を受けたいことを専 用の患者インフォメーションに記入しておく (患者にはしっかり了解をとっておく)❸OJT当日は申し送りの時間、OJT後のフィー ドバックの時間を設ける(OJT前後のこの時間 が歯科衛生士の教育、また院長のコンセプト、 医院の診療のシステム構築にも大きな役割を果 たす)。 現場の臨場感の中でしか味わえないこと、感じられないことがそこにあります。OJT前の事前打ち合わせはその患者の情報整理であり、OJT後のフィードバックは担当歯科衛生士に気付きを与えるこの上ない時間となります。歯科医師や時には歯科助手も交えて症例カンファレンスとして一緒に研修している医院が多いようです。(2)輪読会 ひとりではとても読みきれないような書籍を、ゆっくり時間かけて読み込んでいきます。これまでさまざまな本をテーブルワークとして輪読してきましたが、ベテランの域に入る歯科衛生士も新人の若い歯科衛生士も一生懸命に文字を追いかけます。途中でポイントを拾い、臨床を加味した応用的な解説をいれていきますが、これが大切で「輪読会は楽しい」と思ってもらえる秘訣かもしれません。歯科衛生士学校時代に勉強が好きではなかった人も学ぶことが好きになってくるようです。臨床のおもしろみがだんだんわかっていくのでしょう(図6-10)。(3)技の修練 その1 この項がもっとも私らしいところだと自負しながらペンを進めています。改めて歯科衛生士に必要な技術は何かと、主だったものだけを指を折りながら考えてみても到底十指では足りません。それくらい歯科衛生士の仕事は多岐に渡ります。これから必要とされる場も拡がっていくと思いま

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