ナノケア6つのカテゴリー【Key Words】【Clinical Points】☞ オフィスとホームでnano-HAP製剤を組み合わせた再石灰化アプローチを開始する☞ オフィスケアではケミカルクレンジングによるナノケアを安全に行う☞ エナメル質の硬度が低いため崩壊の進行に合わせてタイムリーなMI治療を併用する170年齢(臨床経過年数)、性別:7歳→19歳(12年間)、女性既往歴:特記事項なしnano-HAPの作用対象・ターゲット病態/診断/歯面性状期待する効果 患者は検診希望で来院した7歳女性。乳歯列期よりブラキシズムによる咬耗が顕著であり、顎位は不安定でClass III傾向が認められた。第一大臼歯4本と上下顎中切歯3本に罹患程度の異なるエナメル質形成不全が確認され、MIHと診断された。咬合関係については積極的な矯正治療は希望されなかったが、MIHについては再石灰化アプローチを成人になるまで継続する必要があることに対して理解が得られ、再石灰化、ミネラル補給エナメル質表面・表層、エナメル質表層下、エナメル質深層エナメル質形成不全(MIH)、白濁病変(白斑・WSL)白濁減少、エナメル質崩壊抑制ナノケア(ディフェクトリミネラリゼーション)を開始した。 第一大臼歯は咬合接触によるエナメル質の崩壊を抑制しながらナノケアを継続。中切歯は顎位の変化により反対咬合、切端咬合、正常咬合を繰り返しながら咬合接触状態が変化するため、ナノケアを継続しながら切縁付近に認められるMIH部位の再石灰化状態とブラキシズムによる形態変化について経過観察を行った。 ナノケア開始から12年後、中切歯MIH罹患部の再石灰化とブラキシズムによる急速な形態変化が安定したところで、患者の審美的要求から非切削にてコンポジットレジン修復による切縁部形態修正を行った。 第一大臼歯エナメル欠損部は安定しているものの、咬合による崩壊リスクと知覚過敏リスクを考慮して引き続きディフェクトリミネラリゼーションを行っている。症例プロファイル症例の概要MIHに対するナノケア長期管理症例CASE17
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