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++++ーーーbーーー+++++++++++++++ーーー++ー+ー+++++++++ーーーーーーー+ー+ーーー+ーー+++++aFIG 25a, b 小児(a)から成人(b)への頭蓋,顔面の発育は,縫合部での骨添加,骨表層でのリモデリング(表面での添加と内面での吸収),そして歯の萌出によって生じる.bFIG 26b 歯は本来斜め唇側方向へ萌出しようとするが,骨のリモデリングが起こるために上顎骨全体は下方向に成長することになることを示す.上記の骨のリモデリングのパターンがなければ,歯の萌出によりチンパンジーのような口元になるかもしれない.aFIG 26a 上顎前歯部の骨のリモデリングパターン.+は添加部,-は吸収部を示す.唇側の骨表面では,骨のリモデリングで吸収が起こり,口蓋側では,添加が起こることがわかる.前歯は矢印の方向(歯根の長軸方向)へ萌出しようとすることを示す.301[参考文献:Enlow DH,Hans MG(著),黒田敬之(監訳),宮下邦彦(訳).顔面成長発育の基礎(Essential of Facial Growth).東京:クインテッセンス出版,2016].そのなかでも,上顎前歯部での骨のリモデリングを詳しくみてみると(FIG 26a),鼻腔底と歯根の唇側表面に吸収域が存在し,口蓋側は添加域になっている.歯の萌出だけによる骨添加を考えた場合,歯は歯軸方向に萌出するので,上顎骨は前下方へ成長することになる(FIG 26a).しかし,上記の上顎前歯部の骨のリモデリングがあるために,上顎前歯部の骨は全体的には下方へ成長することになる(FIG 26b). 実際,発育成長期(思春期の終了前)の外傷による脱落歯を遅延型再植した場合,アンキローシス(歯根膜がなくなり骨癒着した状態)により歯の萌出が停止した歯は,上顎の発育とともに唇側かつ根尖側へ位置するようになる(FIG 27).これは,顎の成長とともに周囲の健全な歯が下方へ移動したことを意味している.この症例に限らず,ほとんどすべての症例でアンキローシスに陥った歯ーーーーーーーー++++++++ー+ー+ー++ー+ー+ー+ーエピソード 13 ペリオは正義の礎頭蓋顔面の発育を示す模式図骨表面のリモデリングと歯の萌出の関係

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