adbecf026 歯のけがにはさまざまな状態がある.外傷歯は,大別して「破折性の外傷」(FIG 1)と「脱臼性の外傷」(FIG 2)に分類することができる.破折性の外傷は,エナメル質の亀裂(FIG 1a),エナメル質破折(FIG 1b),単純歯冠破折(露髄をともなわないもの:FIG 1c),複雑歯冠破折(露髄をともなうもの:FIG 1d),歯冠-歯根破折(FIG 1e),歯根破折(FIG 1f)に細分できる.脱臼性の外傷は,振盪(FIG 2a),亜脱臼(FIG 2b),挺出性脱臼(FIG 2c),側方性脱臼(FIG 2d),埋入性脱臼(FIG 2e),脱離(脱落:FIG 2f)に細分できる. 外傷歯を主訴とする患者の治療頻度は,歯科医院の立地条件によってまちまちであろう.筆者の医院には年間数十人の新患外傷患者(永久歯の場合)が来院するが,その約6割が歯冠破折である(FIG 1c, d).プロローグで触れたが,外傷患者における不正義は,歯冠破折の治療で多くみられるのもそのためであろう.したがって,エピソード1では,単純歯冠破折と複雑歯冠破折の治療法について,筆者の最新の術式や考えを述べたい.FIG 1a エナメル質の亀裂(エナメル質にマイクロクラックが生じた状態.臨床症状はなく,通常治療を必要としない).FIG 1b エナメル質破折(エナメル質に限局した歯冠破折.治療が必要ない場合もある).FIG 1c 単純歯冠破折(露髄をともなわないエナメル質-象牙質-エナメル質への破折).FIG 1d 複雑歯冠破折(露髄をともなうエナメル質-象牙質-エナメル質への破折).FIG 1e 歯冠-歯根破折(エナメル質-象牙質-セメント質に及ぶ破折.露髄をともなうものと,ともなわないものがある).FIG 1f 歯根破折(セメント質-象牙質-セメント質に及ぶ破折). 破折性の外傷の分類歯のけがの種類
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