病院歯科の現在地
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 日本にある総合病院7,152施設の中で、歯科および歯科口腔外科の標榜があるのは2,093施設であり1、そのほとんどが歯科口腔外科である。筆者の勤務する足利赤十字病院リハビリテーション歯科(以下、当科)は、歯科口腔外科とは別のリハビリテーション科に属しており、歯科医師3名、歯科衛生士2名が在籍し、その他の職種として医師2名、理学療法士30名、作業療法士17名、言語聴覚士10名が在籍しており、総勢60名を超える(図1)。外来患者は基本的に診察せず、入院患者の歯科診療に特化した診療科で、540床すべての患者が対象患者である。患者介入は、当院の病院長および全診療科長承諾のもと、従来の主治医からのコンサルテーション制をなくし、病棟からの口腔ケアチーム依頼またはリハビリ処方患者を対象に行っている(患者同意は別に行う)。連絡先:〒326-0843 栃木県足利市五十部町284-1キーワード:リハビリ歯科 急性期病院 顎口腔機能62施設データ病床数:540床(うち回復期病棟50床)/診療科数:29科/スタッフ数:約1,200名/常勤歯科医師数:7名(臨床研修歯科医1名含む)/非常勤歯科衛生士数:5名(うちリハビリ歯科2名)/地域高齢化率:33.09%(2022年10月現在)/地域がん診療連携拠点病院、栃木県3次救急医療機関指定救命救急センター急性期病院である当院は在院日数が約10日とされているため、この日数が延長することは患者のADL低下やQOLに影響することを意味する。延長する要因として合併症が挙げられるが、他にもさまざまな要因があると考えられる。当院は、栃木県に5つある3次救急医療機関の1つである。入院期間中にいかに口腔関連の感染・合併症の予防・対策がわれわれの主なミッションステートメントであり、大学病院で引き受ける重症患者が入院してくることもあるため、さらなる感染症対策は非常に重要となる。入院患者に特化し、歯科に介入している当科の活■病院歯科の現在地施設名:足利赤十字病院施設の特徴:当科はリハビリテーション科に属している歯科であり、入院患者の歯科診療に特化している。病院内ではリハビリ職種や医師、看護師、その他コメディカルの多職種とつねに連携しやすい、チーム医療が実践しやすい環境にある。はじめに寺中 智 Satoshi Teranaka足利赤十字病院 リハビリテーション科口腔治療室長日本老年歯科医学会専門医・指導医/日本補綴歯科学会専門医/日本摂食嚥下リハビリテーション学会認定士/日本ACLS協会BLSインストラクターミッションステートメント 口腔関連の感染・合併症の予防・対策当科における活動の2本柱 「予防」と「治療」への対応Chapter5リハビリ歯科リハビリ歯科の取り組みとその役割

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