Chapter 2 病診連携 地域歯科医師会との連携体制の取り組み31療職が参加する機会は少なく、地域包括ケアシステムの中にかかりつけ歯科医師としての役割や立場をアピールしていくことが大切である。2018年度診療報酬改定でかかりつけ医機能の充実1がうたわれ、かかりつけ医とかかりつけ歯科医の間の情報共有・連携による医科歯科連携・診診連携が行われるようになった(図1)。病院歯科における医科歯科連携・病診連携は、院内医科と顔の見える関係性もあり医局ですぐに相談できるなど垣根も低く良好である。院外地域医科診療所とも直接または地域連携室を通じて対診を頻回に行うなど、十分な体制が構築されている。一方で、歯科における病診連携、歯科歯科連携は進んでいるのだろうか。歯科における1次歯科医療機関、いわゆるかかりつけ歯科医院から2次歯科医療機関いわゆる病院歯科への「上り」の連携体制は、少しずつではあるが変化してきている。医科歯科連携の推進が挙げられ、2018年度診療報酬改定で診療情報連携共有料(120点)が医科点数表と歯科点数表図1 かかりつけ医機能評価の充実。2018年度診療報酬改定の概要より。に新設された2(図2、3)。診療情報連携共有料は、歯科からの診療情報の提供を文書により求めた場合、医科から診療内容、検査値、薬剤情報などの診療情報を文書で提供した場合それぞれの医療機関で算定ができる。また、歯科治療時医療管理料(45点)が名称改定および対象疾患で追加され、歯科治療時における患者の全身状態の変化などを把握するために患者の血圧、脈拍、経皮的酸素飽和度を経時的に関して必要な医療管理を行った場合に算定できるようになった。緊急時に円滑な対応ができるように、別の保険医療機関との連携体制の整備がうたわれている。これらのことから、今までは1次歯科医療機関で処置困難な医学的配慮が必要な患者は、2次歯科医療機関に歯科的紹介状を作成することが多かったが、最近では2次歯科医療機関への紹介状に医科診療情報提供書が添付される患者も多くみられるようになってきた。歯科医師にとって医科的知識、医師にとって歯科的知識の実践的な習得にもつながる医科診療情報提供書のやり取りを通じ、歯科診療所と病院歯科の関係も変化してきている(図4)。本稿では、歯科における「病診連携」として病院歯科と地域歯科医師会の取り組みについて紹介する。歯科における連携体制の現状
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