病院歯科の現在地
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009病院総数歯科標榜病院数 医科歯科連携の浸透状況を把握するうえで、歯科標榜病院の経年推移は有効な判断材料と考えられている(図1)。図1より歯科系診療科目のある病院割合は、2014年の20.9%から2020年では22.1%とやや増加したことがわかる。しかし、4つの標榜科別の経年推移をみると、増加しているのは「歯科口腔外科」のみである(図2)。「歯科」は2012年度診療報酬改定において「周術期口腔機能管理」が新設されてから、やや増加傾向にあったが、それでも2008年の1,300病院には届いていないのが現状である。これは分子に該当する歯科をもつ病院数の減少以上に、分母に該当する病院総数が減少しているためである。つまり歯科標榜割合を考える場合、病院総数は経年的に減少している状況を理解したうえで議論することが重要である。また、少子高齢化が進むなか、厚生労働省は2025図1 歯科系診療科目のある病院割合。図2 病院総数および病院における歯科標榜病院数の経年推移。1,40022.11,2001,0008006002020(年)4002008,7938,7388,6698,6048,5648,5408,4938,4808,4428,4128,3728,3008,2381,2891,2791,2781,2881,2901,2911,2981,2911,2781,2811,2791,2671,3008078218348428522008200920102011201220132014201520162017201820192020歯科矯正歯科年に向けて病床の機能分化・連携を進めるために「地域医療構想」の策定を行っている。2040年頃を目標に、新型コロナウイルス感染症対応での経験や顕在化した課題を打開する新たな地域医療構想の策定へ議論が行われる方針である(図3)。今後、病院自体の再編や機能分化が急速に進むと思われる。 医師法および歯科医師法の第1条(図4)では、「国民の健康な生活を確保する」大きな目的のために、医療および歯科医療を職務として担当することと規定されている。わが国では医師法と歯科医師法は別の法律で規定されてきたことや、教育現場や働く現場も違ってきた経緯がある。2010年頃にとりまとめられた「チーム医療の推進に関する検討会」で挙げられた「チーム医療」というテーマは、わが国の医療のあり方を変えうるキーワードとして注目を集めた。日本歯科医師会からも歯科委員が当初から参画していたが、病院に設置されている歯科は約2割と少なく、「チーム医療」に参加できている歯科医療職種はきわめて少ない現状であり、歯科の議論は少ない小児歯科歯科口腔外科9539728809219329869971,0099,0008,0007,0006,0005,0004,0003,0002,0001,000(年)病院総数巻頭企画 病院歯科における医科歯科連携の現状と今後の課題チーム医療議論における歯科の位置づけ歯科標榜病院割合の経年推移(%)25.020.921.420.015.010.05.00.020142017病院歯科の果たす役割と これまでの取り組み

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