SRPまるわかりBOOK
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「最近、ルートプレーニングでは根面を滑沢にせずデプラーキング(プラークの除去)をすればよいと言われていますが、どちらの方が治りがよいのですか?」という質問をよく受けます。従来のルートプレーニングと異なり、歯肉縁下のプラーク(バイオフィルム)を破壊しデプラーキングすればよいということらしいのですが、どうでしょうか。この質問に答える前に、「そもそもルートプレーニングとは何をやっているのか」を考えてみましょう。歯根の表層はセメント質で覆われていますが、歯周ポケットにさらされたセメント質は歯周病原細菌による毒素等に汚染されており(露出セメント質/汚染セメント質/壊死セメント質と呼ばれます)、除去しなければならないと考えられていました。その際、どの程度セメント質を除去すればよいかについては、かなり以前からさまざまな研究がされてきました。しかし1986年のMooreらの研究1において、毒素は汚染根面の表層に弱く結合しているもので、水洗で39%が、水洗とブラシによる洗浄で99%が除去でき、キュレットタイプのスケーラーで削った根面表層の削片内にはわずか1%の毒素しか残らなかったという結果が明らかになりました。つまり、歯周ポケット内に露出したセメント質を削り取る必要性に疑問を呈したのです。他にもフラップ手術時に、いわゆる露出セメント質をラバーカップやラバーチップで洗浄・研磨し目に見える歯石のみを除去した場合と、すべての根面のセメント質を除去した場合とでは、歯周ポケットの減少量に差がなかったとする研究(Nymanら、1988年)2もあります。これらの結果から、ルートプレーニングで露出セメント質を削り取る必要がないことが示唆されました。「SRPって何をしてるの?」に答えられるようになろう!14ルートプレーニングの必要性とは露出セメント質を除去する必要性について(図2)ルートプレーニングとは、何をやっているのか

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