図2 3Dプリンターの造形エリアの広さには余裕があったほうが良い。 現在、技工用スキャナーは1日に2症例は活躍し、3Dプリンターで月に10床は製作することによって初期投資はすでに回収済みである。 本稿では歯科技工所ではなく歯科医院でも3Dプリンターを導入し、日常的に活用している事例を紹介する。 これまで3Dプリンターを活用できる場面は、クラウン・ブリッジなど歯冠補綴や義歯のメタルフレーム鋳造用のレジンパターン、矯正装置、模型などが主であったが、2020年に義歯床用のレジンが薬事承認されたことで義歯製作が可能となった。 しかし機器と材料が保険適用されていないこと、レジンの物理的性能が飛躍的に向上している訳ではないことから、現状では義歯製作のすべてを3Dプリンターに置き換えることは難しい。 現時点で3Dプリンターを導入するメリットは、「即日義歯治療」が容易になること、そして「精度の高い複製義歯が簡単に製作できる」ことの2点だと感じている。総義歯の患者が多く来院している歯科医院では毎日活用することも可能であり、実際に当院では義歯に関係する3Dプリントをほぼ毎日行っている。 医療機器として認可を受けている歯科用3Dプリン造形精度 同じ3Dデータ、同じ条件で違うメーカーで製作した造形物をスキャンし、元の3Dデータと比較したところ、その差ははっきりと存在した。ただ精度が高いと造形時間は長くなる傾向があり、どのような技工物を主に製作するかによって評価は分かれると思われる。造形物の表面の粗さにも明確に差があり、義歯粘膜面は研磨することもできないため、造形物の粗さはそのままとなる。実際の造形物サンプルを確認してから機器の選択をすべきであろう。造形エリア 1回の操作でどれだけ多くの義歯をプリントできるかは造形エリアの大きさによって決まる。少なくとも同時に2床はプリントしたいが、ある機種では大きめの義歯を2床プリントするのに造形エリアが小さく、苦労する場面が頻繁にあった。やはり造形エリアの大きさには余裕があったほうが良いと感じる(図2)。ターは数種類あるが、その価格には大きな差があり、何を基準にして選ぶべきか迷われると思う。 造形物の精度を気にする人が多いと思うが、それ以外のスペックの差によっては日常の使い勝手にかなり大きな影響がある。 筆者は全種類の3Dプリンターを使ったことはないが、いくつかのメーカーの3Dプリンターを長期間使ってみて影響が大きいと感じた項目がある。80CASE PRESENTATION-CAD/CAM3Dプリンターの現状機器・材料を選択する際に考慮すべきこと
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