Digital Dentistry YEARBOOK 2023
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数人作製図1 当院で3Dプリンターで製作した義歯の数の推移。 われわれがつい数日前まで当たり前だと思っていたことが、物凄いスピードで新しいものに取って代わることが多くなった。その一例として学会やセミナーのオンライン開催が当たり前になり、現金での地下鉄の乗車は滅多になくなった。 一方でなかなかアナログからデジタルに移行しないものもある。読書などがそれであろう。一度はデジタルで利用しても従来の本の良さに戻る人が多いのではないだろうか。歯科治療においても、アナログからデジタルに移行し難い治療分野がある。義歯治療である。 筆者は札幌市で自由診療の義歯治療に特化した歯科医院を開業している。3Dプリンターに用いることができる床用レジン材料が、2020年に認可された翌年に技工用スキャナーと3Dプリンターを導入し、義歯治療のデジタル移行を目指して日常の診療に、どのように活かせるか試行錯誤を重ねてきた。 3Dプリンターで製作した義歯の数は500床を超えるが、筆者の感想は「従来の義歯治療のすべての工程を完全デジタルに移行することは難しい」ということである(図1)。 義歯治療においては口腔内の印象採得は口腔内スキャナーで行う気にすらなれず、人工歯排列試適もアナログの方がその場での調整が行いやすい。結局は最後の「義歯完成」部分だけ3Dプリンター等に置き換えるのが現実的である。 しかし、デジタルだからこその有効な活用方法があることもわかった。それ故に2年も経たずして500床近くの3Dプリント義歯を作ることになった。79コアフロント株式会社 PRESENTATION-CAD/CAMCASE 今日から使える! デジタルデンチャー治療池田 昭(歯科医師:コンフォート入れ歯クリニック)はじめに

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