Digital Dentistry YEARBOOK 2023
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図3 ₄、₄、₅、₆にプリントしたインレーがセットされている。セラミックインレー用にしっかりと形成量を確保したので1年後も良好な状態を保っている。図4 メタルインレー用に準じた形成量で処置した症例。予想はしていたが、やはり約3ヵ月後に破折してきた。を作るためにデジタル機器を導入している。つまり、心のゆとりを作るためである。 なぜならば、銀行から借り入れをして開業したため、医院出勤、院外アルバイト、勉強会と月2日の休みで無我夢中で働いたが、頭と心の中は無茶苦茶になってしまった。働いている意義や家族と過ごす時間の意義をも完全に見失っていた。さらに近くに新規の歯科医院ができ、患者数も売り上げも下がっていき、スタッフと揉めたり、自分のミスからクレームが出たり、完全な負の連鎖の中にいた。そのときの考えは、諦めと傍観であった。しかし、心のどこかに抜け出したいという気持ちはあった。どのようにしたら、質を落とさずに効率的にやれるか、模索はしていた。そんな時に、米国の再生医療外科学会の講演会を聞く機会があり、そこで見たのが、複色でプリントされた臓器のプリントモデルである。その時、歯科も3Dプリンティングの時代が来ると直感した。最新・最善・最高の治療を提供するためにも、治療・技工の効率化を図り、ゆとりの時間を作る最適な方法がデジタル化だと思う。デジタルデンティストリーは、もう避けては通れない時代の流れかつ自分のためにも必要なことだと思われる。 現状、医院で提供している3Dプリントでの治療を紹介していく。 インレー/クラウン/テンポラリークラウン/プロビジョナルレストレーション/咬合床プレート/個人インレー まず使用頻度の高いインレーについて示していく。当院では破折のリスクなどをしっかり説明している。セラミック系材料と住み分けるため非常に安価で提供している。使用しているインクはディーマプリント(クルツァージャパン)である。図3は₄、₄、₅、₆にプリントしたインレーがセットされている。セラミックインレー用にしっかりと形成量を確保したので1年後も良好な状態を保っている。対照的に図4は、メタルインレー用に準じた形成量で処置したものである。予想はしていたが、やはり約3ヵ月後に破折してきた。破折のパターンは典型的に隣接部の一部か窩洞ショルダー部の2種(図4、5)と言っても過言ではない。対策を取った形成量、咬合調整をする必要性がある。破折した場合はレジン充填で修復することもあるが、より破折の心配が少ない材料の提案をするほうが良いと考えている。アンレー・クラウン 図6に、₇と₇に3Dプリントクラウンを使用したトレー/個歯トレー/義歯修理パーツ/部分床義歯/全部床義歯/スプリント/ナイトガード/顎義歯/マウスピース矯正/小児Ⅲ級咬合治療/サージカルガイド/骨模型/研究用模型/縮小顎模型、などであるが、想像力次第で他にも可能である。68CASE PRESENTATION-CAD/CAM何ができるのか どう使いこなすか

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