Digital Dentistry YEARBOOK 2023
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デジタル矯正装置のデリバリーデジタルセットアップの承認口腔内スキャナー診断・治療計画の立案治療検査図1 デジタル矯正歯科装置のワークフロー。 近年、矯正歯科界におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)は目覚ましい発展を遂げている。患者へのコンサルテーションから、検査・診断、治療に至るまでデジタル機器やデジタル矯正歯科装置が取り入れられている。 検査にはデジタルエックス線装置、歯科用コーンビームCT(CBCT)、顎機能検査装置、口腔内スキャナー(IOS)、デジタルカメラなどが用いられ、診断に必要な分析もすべてデジタル化され、模型は従来の石膏に代わって3Dプリンターで製作されている(図1)。 CAD/CAMシステムを応用して製作されるデジタル矯正歯科装置は、患者個人個人にカスタマイズして製作された矯正装置として年々需要が増加している。デジタル矯正歯科装置は大きく分けて2種類存在する。 ひとつは、近年大躍進して矯正歯科治療のイメージを一変させたマウスピース型(アライナー)矯正装置である。マウスピース型矯正歯科装置はInvisalign®(インビザライン・ジャパン)に端を発し、その後数社が後発組としてしのぎを削っている。 もうひとつは、ワイヤーを使用するマルチブラケット矯正装置である。矯正装置の主たる構成をなすブラケットやチューブの製作を、患者ごとにカスタムで行うという革新的な概念がリンガル矯正装置のIncognito™(スリーエムヘルスケア)により始まった。歯冠舌側面は複雑な形態を有するという特徴から、カスタマイズされたリンガル矯正装置は、複数の企業にて開発され現在に至っている。 一方、ラビアル矯正装置のカスタマイズはなかなか進行しなかったが、ようやく2005年、Ormco社(現・エンビスタジャパン)からINSIGNIA™が登場し、治療に利用されてきた。 現在は、マウスピース型矯正歯科装置もマルチブラケットタイプのデジタル矯正歯科装置も複数社から販売されている。 マウスピース型矯正歯科装置の主な製品としては、Invisalign®、SureSmile®(デンツプライシロナ)、clearcorrect®(ストローマン・ジャパン)などがある。 マルチブラケットタイプのデジタル矯正歯科装置には、ラビアル矯正装置には先述のINSIGNIA™、リンガル矯正装置にはIncognito™、WIN(DW Lingual Systems)、HARMONY(アソインターナショナル)などが存在する。 さらに、ラビアルとリンガルの両方の装置の製作が可能なSYMPHONY(アソインターナショナル)という、市販のブラケットを使用したデジタル矯正歯科装置も新発売されている。 紙面に限りがあるので、これらのデジタル装置をすべて説明することはできないが、いくつかを簡単に説明したい。17・エックス線写真・口腔内模型・口腔内写真・顔貌写真・機能検査など・口腔内写真・顔面写真・CBCTのDICOMデータ・IOSのSTLデータ・治療計画デジタル矯正歯科装置のワークフローデジタル矯正歯科治療の現状と展望はじめに

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