ブラッシング歯ブラシ歯磨剤デンタルフロス洗口液保湿剤歯肉食品喫煙生活習慣Q29A29喫煙に関する疑問保護者の喫煙の影響により歯肉に着色がある子どもはう蝕リスクが高い?保護者の喫煙により、タバコの煙に含まれるいくつかの有害物質の影響で、お子さんのう蝕のリスクが高まる可能性が示唆されています。68保護者が喫煙されているお子さんの着色が目立つのですが、う蝕のリスクには影響するのでしょうか?回答:小島美樹 受動喫煙と子どもの歯肉着色には関連があるとされており、それにはメラニン色素を産生するメラニン細胞の活性化が関与しています。子どもがタバコの煙を吸い込むと、タバコの煙に含まれるニコチンやベンゾピレンなどの刺激物質が口腔粘膜を通過して、あるいは血行を通じて歯肉のメラニン細胞に到達します。刺激物質により活性化された歯肉のメラニン細胞は、多くのメラニン色素を生成するようになり、歯肉のメラニン色素沈着が進むと考えられています。 山形県の歯科医院の患者を対象とした研究では、歯肉に着色がみられた6~16歳の小児のうち、両親のいずれかが喫煙する割合は70%であったと報告されています1。子どもの歯肉着色のすべてがタバコの煙の影響とは限りませんが、保護者が喫煙しているなど、家庭でタバコの煙に曝露されていると考えられる場合は、まず受動喫煙との関連を疑います。 さらに、受動喫煙による子どもの健康影響のひとつにう蝕があります。多くの研究で、家族に喫煙者がいる子どもはそうでない子どもに比べて、う蝕有病率が高かったと報告されており、その科学的根拠は、すでに因果関係を示唆するレベルに到達しています2。なぜ受動喫煙がう蝕と関連するのかはまだ十分解明されていませんが、タバコの煙に含まれるいくつかの有害物質が、う蝕菌や唾液、歯質に影響を与えることによりう蝕のリスクが高まるのではないかと推定されています。たとえば、ニコチンによるミュータンスレンサ球菌の成長促進やバイオフィルムの形成促進、カドミウムによる唾液腺や歯質の結晶化の傷害が確認されています2。
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