その20年後の2006年末には、Cadent社がデジタル印象スキャンシステムiTeroを開発・発売し、2008年にはD4D Technologies社がE4D dentist systemを、2010年12月には3Shape社がTRIOS IOSを発売した4。3M社は、2008年に発売されたLava COSの後継機として、True Definition IOSシステムを開発し、2012年末に歯科市場に投入した5。その後、デジタル印象採得への関心の高まりや人工知能アプリケーションの開発にともない、数多くのIOSシステムが発売された。Ormco社は2013年5月にLythos IOSを発売し、Planmeca社は2014年初めにPlanScan IOSを米国で発表した。同じく2014年にCarestream Dental社はCS3500 IOSシステムを発表し、Dental Wings社は2015年の国際デンタルショーでDWOSを発表した。Medit社は2018年にi500 IOSを正式に発売し、Biotech Dental社は2019年にWOW IOSを販売した。既存のIOS装置の古いハードウェアに加えて、精確性の向上、ユーザーインターフェースの改善、患者体験価値の向上などを謳った新しいハードウェアとソフトウェアがメーカーから次々と発表されている(図3-1)。Surface ScanningGeorge Michelinakis333bcadef図3-1 現在、歯科市場で販売されている最新世代のIOS装置。(a)TRIOS 4(3Shape)、(b)Emerald S(Planmeca)、(c)i500(Medit)、(d)CS3700(Carestream)、(e)Primescan(Dentsply Sirona)、(f)Virtuo Vivo(Dental Wings)。訳:山田邦彦/深澤真一/根岸慎一口腔内スキャンシステムの紹介口腔内スキャン(IOS)テクノロジーの起源は、1970年代初頭にDr. François Duretらが光学印象のために最初の歯科用の口腔内デジタイザーを開発したことに始まる1。デジタル化したデータを3Dグラフィックとして再構築し、モニター上で最適なクラウンの形態がバーチャルで設計された。最終的なクラウンは、CNC(コンピュータ数値制御)装置を用いてブロックをミリングして製作された。Duretらは後に市販用のSophaシステムを開発したが、このシステムは歯科での適用には時期尚早であったため、広く普及しなかった2。デジタル化の低い精確さ、コンピュータの性能の低さ、不十分な機械的特性の材料などにより、1980年代半ばにMörmannとBrandestiniがCEREC(Chairside Economical Restoration of Esthetic Ceramics)システムを初めて紹介するまで、口腔内のデジタル化の開始は遅れた3。当初のコンセプトはDuretと同様で、インレー窩洞のデジタル印象採得と、それに続くチェアサイドでのセラミックインレーの製作であった。これは、チェアサイドでのインオフィス修復物製作の概念の最初の紹介であった。サーフェススキャン
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