「圧下」のための歯科矯正用アンカースクリューテクニック
6/6

埋入部位はアンカースクリューが歯槽粘膜部内にあるため、頬の動きにあわせて食物残渣やプラークが粘膜貫通部に入り込み、不潔域になりやすい(図1-44、45)。歯ブラシによる清掃を勧めるが、管理が難しい。そこで、薬用成分のある洗口剤等の使用を患者に行ってもらうとよい。 粘膜周囲に炎症を起こした時には、抗生物質含有の軟膏を局所に週2〜3回適用し、内服の抗生物質を3〜4日投与すれば収まることが多い。それがインプラント周囲炎になったり、スクリュー脱落の原因になる可能性はきわめて少ない。 そのような症例では炎症を繰り返すためか、アンカースクリュー撤去後も瘢痕のようなしこりがしばらく残ることもあるが、時間とともに自然に消失すると考えられる。Key to success 5貫通部粘膜の炎症への対策図1-45a、b アンカースクリューにモジュールを覆いかぶせることで、可動歯肉に埋入されたアンカースクリューでもその周りの組織の動きを押さえることができ、炎症、疼痛の減少に役立つ。齦頬移行部を少し越えたくらいの部位であれば、有用な方法である。図1-44a、b下顎骨体部の深い部位にアンカースクリューを埋入した症例。矯正治療中、プラークが粘膜下に圧入することが問題で、度重なる腫脹を起こすことが多い。含嗽などの予防処置が必要だが、粘膜炎症が起こった場合には、消炎処置を行わねばならない。 早期の対応で問題を大きくしない45

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です