補綴治療に必要な咬合の基礎知識
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第4章図4-15a 口内描記法に用いられるゴシックアーチ・トレーサー.(A)描記針,(B)描記板.図4-15b 下顎咬合床に描記針,上顎咬合床に描記板をそれぞれ固定する.図4-15c 上下顎咬合床を口腔内に装着する.3.ゴシックアーチ描記法 ゴシックアーチ描記法は,下顎の側方限界運動時に,通常切歯部で水平時に描かれる運動路のことであり,描記された図形がゴシック建築様式に似ていることからこの名で呼ばれる. 臨床での応用は総義歯の症例のように,上下額の位置関係がまったく不明となった場合,安静位でのフリー・ウェイ・スペースなどを利用した方法で,垂直的顎位が安定した後に,水平的な下顎位を決定するためにゴシックアーチ描記法を用いる(図4-15a~g). なおゴシックアーチ描記法には,口外描記法と口内描記法がある.4.電子的下顎運動測定法 電子的下顎運動測定法は新しい下顎運動の測定法である.マイオモニター(図3-2参照)やナソヘキサグラフⅢ(図2-21a,b参照)のように切歯点の運動径路を矢状面,水平面,前頭面に記録する能力を有し,上下顎間に特別な固定装置を介することなく比較的自然な状態で測定できるので患者の負担が少ない.しかしその測定結果を別の装置,咬合器のようなもので再現できないため,現在では診断用としてのみ使われている. 以上4つの偏心運動の測定法について述べたが,今日の臨床でもっとも多く用いられている半調節性咬合器の顆路の調節はチェック・バイト法であるため,歯科技工士としてこの方法だけは完全にマスターしてほしい.図4-15d 記録されたゴシックアーチ(図4-15a~dは小林隆先生のご厚意による).図4-15e 口外描記法のゴシックアーチ・トレーサー.de図4-51図4-15f 咬合採得終了後,上下顎咬合堤に上下顎トレーサーを固定する.図4-15g 上顎に取り付けられた描記針によって下顎に取り付けられた描記板にゴシックアーチが描かれる.fg(A)(B)48

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