補綴治療に必要な咬合の基礎知識
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顎口腔系の構成と機能● 起始部:頬骨弓の下縁より起こる.● 走方向:起始部から停止部に向かってほぼ下方に向かう.● 停止部:下顎骨の外側面と隅角部で停止する.● 作用:下顎骨を上方に引き上げ上下顎歯を咬み合わせる.②側頭筋 頭蓋の側頭骨に扇状に広がる扁平な筋肉である(図1-5).側頭筋の特徴と各部の役割は以下のとおりである.● 起始部:側頭窩,一部は側頭筋を覆う側頭筋膜より起こる.● 走方向:前走部は起始部より下方に向かい,後走部は水平方向に前方に向かう.● 停止部:筋突起に停止する.● 作用:上下顎の歯牙を咬み合わせ,食物を粉砕し,下顎の位置を水平的かつ垂直的に調節する.ただし,後走部は下顎骨を後方に引っ張る.③外側翼突筋 下顎骨内側面の上部に位置し,ほぼ水平に走る不等辺三角形の筋肉である(図1-5).外側翼突筋の特徴と各部の役割は以下のとおりである.● 起始部:上腹は,蝶形骨大翼の側頭下面より起きる.下腹は,蝶形骨翼状突起外側板外面より起こる.● 走向:起始部より後方に水平へと向かう.● 停止部:下顎頭の頭部内側面に位置する翼突起窩および関節円板の前端の関節包に停止する.● 作用:下顎を前方に引き出すが,左右同時に働くと前方運動となり,片側のみ働くと側方運動となる.④内側翼突筋 下顎骨内側面に広がる四辺形の厚い筋肉である(図1-5).内側翼突筋特徴と各部の役割は以下のとおりである.● 起始部:蝶形骨翼状突起後面にある翼突窩より起こる.● 走向:起始部より後下方へと向かう.● 停止部:下顎骨の内面で停止する.● 作用:下顎の挙上.下顎を反対側に移動させるのを助ける.⑤舌骨筋(開口筋) 下顎を下方に引く筋は,主に頸部にある筋で,舌骨をはさんでその上方にある舌骨上筋群および下方にある舌骨下筋群からなる(図1-5). 単純な開閉運動では,下顎骨を引き上げる閉口筋として咀嚼筋が作用し,下顎を引き下げる開口筋には,舌骨を中心とした舌骨筋上筋群や舌骨筋下筋群が主に作用する.また舌骨上筋群は,舌骨を引き下図1-6 咀嚼時の下顎運動.下顎は作業側へ偏位して咬頭嵌合位へ戻る(参考文献2より引用改変).作業側非作業側11

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