パーシャルデンチャ―成功のための設計3原則
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8 1970年代前後に筆者が大学院生、教員として在籍し、後に主宰することになる東京医科歯科大学歯学部部分床義歯補綴学教室(中澤勇教授)において、クラスプ義歯装着患者への大規模な経過観察・予後調査が行われた。当時、大学附属病院で学生の症例が年間400症例以上となり、5年間で2,000症例程長期経過から示唆された義歯を使わなくなるまでの期間と3大要因度の調査結果が集積された2。この調査の概要から、“60%もの義歯が装着後5年で使用されなくなる”ことが明らかとなった(Fig3)。これを解析すると、使用中止に至る原因としてはFig4の3大要因があることが示された。 義歯装着後の経年的不使用率の変化2(Fig3) 義歯不使用の3大要因(中澤教室のリサーチ、1968) 2(Fig4)9か月500100(%)1年3か月1年9か月2年3か月2年9か月3年3か月3年9か月4年3か月4年9か月5年3か月9か月500100(%)1年3か月1年9か月2年3か月2年9か月3年3か月3年9か月4年3か月4年9か月5年3か月 ①義歯部(有床部・支台装置)の不適合 (24.4%) ②う蝕・歯周病による支台歯の喪失 (22.5%) ③義歯の破損 (29.3%) 合計:76.2%Fig3 60%もの義歯が装着後5年で使用されなくなることが明らかとなった。欠損による顎・口腔の変化に対応する(欠損を拡大させない)ための設計の基本-“動かない”“汚さない”“壊れない”の3原則はなぜ重要か-2
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