見分けて治そう! 歯科金属・材料アレルギー
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72ジーシー)を一定期間口腔内に仮着し,症状が悪化しないことを確認した後で使用した(図11c, d).注目点歯科金属アレルギーの症状としては,口腔領域に発症することは非常に少ない.しかし,患者にしてみると口腔領域に発症すれば,歯科金属との関連を疑いやすいため,自ら歯科金属アレルギーを疑って来院すること多くなる.この症例は口腔内において,金属除去後の症状悪化が確認できた珍しい症例である.患者 32歳,女性現病歴小児期に,アトピー性皮膚炎を発症した.18歳になって,症状が悪化したためステロイド外用を開始した.ところが,20歳になっても症状が改善しないため,ステロイド外用を中止した.29歳のときに手の皮膚炎が悪化し,さらに脱毛も始まった.32歳になって,症状が急激に悪化した.主治医より歯科金属アレルギーの可能性を指摘され,専門医にてアレルギー検査を行った.その結果,歯科金属アレルギーが疑われたため,当院を受診した(図14a, b).処置リンパ球幼若化試験でHg,Ni,Auが陽性となり,Hg,Auを含む原因と疑われる口腔内金属(図13a, b)を除去した.金属除去1週間後に症状が一時的に悪化し,歯科金属アレルギーが確定した(図14c, d).金属除去11か月後に,症状の改善が認められた(図14e, f).修復処置は,症状がまだ不安定なため,患者の希望により仮歯の状態で経過観察を行っている(図13c, d).注目点この症例では,症状の改善まで約11か月を要した.ステロイドや免疫抑制剤の使用期間が長いほど,改善までの時間が長くかかる傾向がある.図12a, b 初診時の口唇部と口腔内.図12c, d 金属除去1週間後,症状が悪化した.図12e, f 金属除去4か月後,症状が改善した.acebdfPART 2 歯科金属アレルギーの治療のフロー脱毛6-8

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