見分けて治そう! 歯科金属・材料アレルギー
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29掌蹠膿疱症は,膿疱が手のひら(手掌)や足の裏(足蹠)に数多くみられる病気で,周期的によくなったり,悪くなったりを繰り返す.ときに,足と手のほかにスネや膝にも皮疹が出ることがある.また,鎖骨や胸の中央(胸鎖肋関節症)やその他の関節が痛くなることもある.患 者 53歳,男性現病歴33歳のとき掌蹠膿疱症を発症するも,ステロイド外用で症状は軽減していた.ところが53歳のときに,歯科医院で下顎右側臼歯部に金属製のブリッジを装着してから,症状が悪化し,ステロイドを使用するも改善しなかった.そのため,担当の歯科医師が歯科金属アレルギーを疑い,当院を紹介した(図4a, b).処 置患者はリンパ球幼若化試験を希望せず,また7月の汗をかく時期であったため,パッチテストの実施も困難であった.患者は,ゴルフ革手袋で症状が悪化すると訴えており,クロムなどの金属アレルギーがあることを疑った.また,歯科で金属製ブリッジを装着してから症状が悪化したこともあり,口腔内の金属(図3a, b)を原因と疑い,処置を開始した.口腔内金属除去後,ステロイドを中止したが,症状の急激な悪化はなかった(図4c, d).金属除去8か月後に,症状の改善が認められた(図4e, f).図2a~c 初診時.図2d~f ステロイド中止後も,ひどい悪化はない.図2g~i 金属除去6か月後,症状が改善した.掌蹠膿疱症4-2abcdefghiCHAPTER 4 歯科金属アレルギーで引き起こされる疾患・症状

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