見分けて治そう! 歯科金属・材料アレルギー
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28歯科金属アレルギーでひき起こされる疾患・症状には,どのようなものがあるのだろうか? 代表的な6例をこれから共覧したい.アトピー性皮膚炎とは,表皮バリアー機能異常などの遺伝的素因を背景として,多彩な非特異的刺激反応および特異的アレルギー反応が関与して生じる,慢性に経過する炎症と瘙痒をその病態とする,湿疹・皮膚炎群の一疾患である.患 者 35歳,女性現病歴7歳のときにアトピー性皮膚炎を発症し,12歳までステロイド外用で症状は良好であった.34歳になって第一子を出産した後に,アトピー性皮膚炎が再発した.皮膚科で,ステロイド,プロトピックの使用および漢方治療を始めるも,症状は改善しなかった.その後,アレルギー専門医に転医し,アレルギー検査の結果,歯科金属アレルギーが疑われたため,当院を受診した(図2a~c).処 置パッチテスト(PT)でAu,Pd陽性,リンパ球幼若化試験(LST)でPd陽性となり,Au,Pdを含む原因と疑われる口腔内の金属(図1a, b)を除去した.口腔内の金属を除去後,ステロイドおよびプロトピックを中止したが,症状の急激な悪化はなかった(図2d~f).金属除去6か月後に,症状の改善が認められた(図2g~i).修復処置には,歯科接着用レジンセメント「パナビアF2.0」,硬質レジン「エステニア」(ともにクラレノリタケデンタル)を一定期間口腔内に仮着し,症状が悪化しないことを確認した後に使用した(図1c, d).注目点妊娠は,「胎児という非自己の移植である」という免疫学的側面を有し,母体の免疫応答はTh(ヘルパーT細胞)2側に傾くともいわれている1.妊娠中の患者の症状が,良くなったり悪くなったりすることはよくある.図1a, b 初診時.図1c, d 「パナビア」「エステニア」(ともにクラレノリタケデンタル)にて修復.アトピー性皮膚炎患者 35歳,女性abcdPART 1 歯科金属アレルギーとは何か?アトピー性皮膚炎4-1

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