ITI Treatment Guide Volume 7
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4章 歯槽堤増生法ITI Treatment Guide n Volume 756 臨床の現場では、相乗効果を狙って自家骨と骨補填材の性質を組み合わせることがしばしばあり、各材料を積層するか、もしくは顆粒状にして混合し使用する。口腔内由来の顆粒状移植骨は、外科吸引装置の内部にフィルターを有するボーントラップを使用して容易に集めることができる(図19、20)。より活性の高い顆粒状の自家骨をインプラントに近接して設置し、被覆軟組織に対して骨再生部の滑らかな外形を作るため欠損部外側に骨補填材顆粒を設置するというのが、移植材を積層することの理論的根拠である(Buserら、2008)。 インプラント手術において、自家骨の一部を骨補填材で置換することにより、患者に強いる外科的侵襲を軽減できる。現在では口腔内由来の移植骨と骨補填材を組み合わせることで、インプラントに関連する骨欠損の多くを治療可能である。以前と比べて、口腔外からの骨採取の必要性は小さくなった。 今日でも、骨補填材と自家骨小骨片を混合する際の最適な比率は不明である。上顎洞底挙上術に関する動物実験では、自家骨移植材が腸骨稜由来であっても下顎骨由来であっても、骨補填材単独よりも自家骨と混合すると骨インプラント接触率が高くなることが示されている。自家骨の割合を高くすると、治癒がいっそう促進することが(Jensenら、2013)、また、骨補填材の割合を高くすると移植部の縮小率がいっそう減少すること(Jensenら、2012)が示されている(図21)。これらの動物実験から、骨治癒促進と移植部収縮の抑制は相反する目的であることが示され、顆粒状混合移植の中で自家骨が占める割合は25%~50%が妥当であると考えられる。4.8 混合移植骨図19 外科吸引装置の内部で使用する、再利用可能なボーントラップ(Schlumbohm, Pinneberg, Germany)。図20 図16gで示した装置で採取した、骨切りによって生じた顆粒状自家骨。細菌の混入を最小限にするため、フィルターは骨切り時に限定して使用すべきである。図21 骨増生に用いる典型的な骨移植材。Lindemannバーを用いて外斜線から採取された皮質骨ブロック。22×8mmの大きさで、完全に皮質骨のみで構成される。ブロック骨を採取するための骨切り時にフィルターに集められた骨細片。欠損部の鋭縁を丸めるためにラウンドバーを用いる。写真上では右下に示されている自家骨と同量の脱タンパクウシ骨材料(DBBM)を静脈から採取した血液に浸漬し、自家骨細片と混合して、50/50の複合移植骨を作る。

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