オーラル・インプラント・リハビリテーション・シリーズ Vol.1
3/6

3.2.⑥ 舌骨筋群の軽い圧でのマッサージ −食後の疲れ−上舌骨筋群、下舌骨筋群の作用 長期間の歯の喪失により、垂直顎間距離が短くなり、舌の正常な位置を確保できず舌が下顎前歯に位置し、舌が嚥下時口蓋を覆う行為ができないことがある。また舌が口蓋に接触せず安定化しないため、舌の上の唾液が蒸発しやすく、免疫力の低下を招く。このため、この周囲に軽い圧を加え、筋群の動作と、免疫力の活性化を図る。下顎の下方にはリンパ節が散在している。骨格筋の収縮により、リンパ液が流れる。 異常嚥下癖のある患者で、水の正しい飲み方ができない場合、正確な発音が難しい場合がある。舌骨筋群の軽い圧をかけることにより改善が見込まれる。 舌骨には多数の筋肉が付着している。舌骨の上に位置するのは舌骨上筋、下に位置するのは舌骨下筋と呼ばれる。それらの筋肉は舌骨の上下に扇状に広がる。 これら筋群は「嚥下、咳に関与」「舌骨を引き上げる」「下顎骨を引っ込める(口を開ける)」「咳、嚥下、くしゃみにおいて舌骨を安定させる」などの役割を持つ。トレーニングの目的トレーニングの効果のある症状トレーニングの注意点愁訴No.6 食後舌がだるくなる愁訴No.8 水分を摂る際に前歯で舌を咬む愁訴No.9 �サ行やタ行を発音する際歯と歯の間から舌がでて発音しづらい愁訴No.21 咬筋部分の食後の倦怠感愁訴No.22 食後のどがだるい 舌骨上筋を強く押すと、咳が出やすくなるために、軽い圧をかけることが重要である。舌骨上筋部に圧をかけると同時に、下顎角にかけて、ゆっくり圧をかけマッサージを行う。顎下リンパ節への刺激にもなる。舌骨下筋への圧は、特にやさしく圧をかける。 表情筋は非常に薄い筋肉層であるので、皮膚とも付着している。毛細血管に圧迫をマッサージで繰り返したり、強い圧迫を加えることは、コラーゲン線維が破壊されることがあるので、指で顔面部を押す動作はあくまでやさしく、軽い圧でマッサージを行う。80Oral Imprant Rehabilitation Series3章 プロビショナルレストレーション装着期間中の口腔周囲筋トレーニング

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です