オーラル・インプラント・リハビリテーション・シリーズ Vol.1
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口輪筋大小頬骨筋頬筋オトガイ筋口角下制筋広頚筋下唇下制筋図2.2.1a~d 術前術後パノラマX線および術前術後顔貌写真。上下残存歯が激しく動揺し、咀嚼できない状態である。口輪筋の輪郭は明瞭となり口角は引き上がり、咀嚼できるようになった。●トレーニングトレーニング②: 口元を尖らせるトレーニング→P72参照トレーニング③: 口角を上げ、口元のたるみを修復するトレーニング→P74参照トレーニング⑧:発声のトレーニング→P84参照患者年齢および性別:初診時53歳、女性主訴:初診時、咀嚼しにくい。発音が不明瞭になることがある。口腔周囲筋トレーニング分析:E-ラインより、上下口唇が突出している。臼歯の喪失により、垂直顎間距離が短く口角は下がり気味である。豊齢線(鼻唇線)は長く、オトガイ部分は膨らみがあり、機能していない。下口唇に力がなく下方向に向いている。下口唇はオトガイ部に乗る形態になり、オトガイ唇溝は深い。十分に咀嚼できないことから、咬合力の低下を招き、頬筋の変性により、前庭部の食塊の咬合面への押し戻し機能が低下し、感覚や感受性が低下するため、嚥下反射が起きにくい状態。頬の筋肉が変性し、脂肪となり下垂することから深い豊齢線(鼻唇溝)となっている。咬合が崩壊し、咀嚼筋の収縮が起こることで、口角は下がり気味となっている。口唇の形も左右非対称となりバランスが崩れている。口腔周囲筋トレーニング計画:発音が明確になるように、舌の訓練を行い、口輪筋、頬筋を訓練して、口角周辺の筋力を上げた。口輪筋は頬筋と大部分つながっている。これらの筋は上咽頭収縮筋とも連続している。頬部から、咽頭にかけての筋の収縮のトレーニングを行う。トレーニングの結果:プロビジョナルレストレーション装着後、短期間に食事ができるようになり、特に咀嚼筋のトレーニング、嚥下訓練は行わなかった。側貌は審美性を確保している。豊齢線(鼻唇線)が短くなり、上唇挙筋、大小頬骨筋が動作することで口角を引き上げることができるようになった。下唇下制筋、口角下制筋、広頚筋は口輪筋を引き締める機能があるが、不十分な訓練のため口唇の正面からのバランスは均一でない。広頚筋をふくめた嚥下の訓練を行う必要がある。顔面形態は骨吸収が顕著でないため、比較的回復しやすい。Radlanski RJ, Wesker KH. グラフィックス フェイス 臨床解剖図譜.東京:クインテッセンス出版,2013;65.より引用・改変図2.2.1e 上唇挙筋、大小頬骨筋を引き上げる。口角を引上げ、口輪筋、頬筋を訓練する。口角下制筋、オトガイ筋で、口輪筋を絞める。abcd37Oral Imprant Rehabilitation Series2.2 口腔周囲筋トレーニングのプロファイルType

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