Digital Dentistry YEAR BOOK 2014
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49株式会社エーティーディー・ジャパン歯科技工士からみたタイザンCAD/CAMクラウンの優位性はじめに 歯科用CAD/CAMの登場によって、加工が困難であったジルコニアを使用することができるようになった。さらに近年ではCAD/CAMの性能は向上し、CADで設計したとおりにCAMでの具現化が可能となり、ジルコニアでの修復の幅が広がってきた。これからの歯科医療において、より一層CAD/CAMはなくてはならないものとなり、デジタル化はさらに進化していくと考えられる。しかしながら、現在のところCAD/CAM修復物の完成には手作業を加えることが多い。より良い修復物製作のためには、CAD/CAMと手作業で良い結果を出すことが大切である。タイザンCAD/CAMシステムは、ジルコニア修復物においては、フレーム、フルジルコニアクラウン・ブリッジ、インレー、メリーランドブリッジ、インプラントアバットメントと多くの症例に対応できる。また、デジタルだけでなく手作業をバックアップする材料も用意されている。フルジルコニア修復に適した透明度の高いジルコニアディスク(ENAMEL ZRTM)、色調再現のためのジルコニア専用着色材(Zir-ColorTMやZir-ChromeTM)と周辺材料も用意されている。これらのシステムは、エナメル質をなるべく残せるように天然歯の形成量を少なくして、審美を実現することをコンセプトとしている。これは、田中朝見氏が提唱するZ.EPTMコンセプト(Zirconia Enamel Porcelain Concept)であり、ジルコニアフレームでクラウンの象牙質部の形態と色調を再現し、エナメル質部は薄く陶材で築盛する方法である。 そこで本稿では、タイザンCAD/CAMシステムを使用した臨床クラウンの製作方法の紹介を通して、その優位性を考察したい。臼歯部のZ・EPTMクラウンの製作◆支台歯のスキャンとマージンライン描記 タイザンCAD/CAMを用いて、作業模型と対合歯をスキャニングする。短時間でスキャニングでき、まったくストレスを感じさせない。取り込まれた支台歯に、1点決めるだけで自動的にマージンラインが描記される。ほぼ、求める位置に描記されるが、修正が必要であればマウスを用いて微調整もできる(図1)。◆Z・EPTMフレームのデザイン まずは、フルクラウンの形態を再現する。ちょうどワックスアップで模刻するような感じであるが、あらかじめライブラリーの歯を読み込み修正するだけで簡単に模刻ができる。筆者はライブラリーの天然歯形態はさまざまな症例に応用しやすいと感じている。咬合状態も確認しておく。フルクラウンの形態からエナメル質陶材の築盛スペースをカットバックする。図2に陶材築盛スペース用の0.1mmのカットバックデザインを示す。ケースによって自由なカットバック量を設定できる。タイザンCADは、長谷川 彰人(歯科技工士:東海歯科医療専門学校/Earth dental laboratory)CASE PRESENTATION-CAD/CAM for Prosthesis

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