パーシャルデンチャーのつくり方
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52図1 2012年11月時点でのパノラマエックス線写真.図2 術前の下顎の状態.図3 術前の上顎の状態.1. Disease and Complaint 患者は,80歳の女性.中等度,部分的には高度の歯周疾患が進行していたが,自身の年齢を考えてか抜歯処置,歯周外科,歯冠修復などの侵襲をともなう処置は望んでいなかった.そこで3か月ごとの定期健診と歯科衛生士によるクリーニング処置で経過観察をしていた. この時点(2012年6月)においては,の欠損はあるが,臼歯部における咬合は確保されていた.しかし,つぎの定期健診時(同年11月)にを支台歯とする,欠損のブリッジのが図1のパノラマエックス線写真に示すとおり極度に骨吸収,動揺を起こし,咀嚼にも困難をきたしてきたので間でブリッジを切断し,を抜歯することを提案した. 患者も了解したので同年12月同部位に切断,抜歯処置を行った.2日後に抜歯窩の洗浄,の歯冠形態を行った.この状態で2か月間経過観察し抜歯窩の回復を待った. 図2,3は術前の上下顎の状態である.抜歯窩は適度に回復しているが,の舌側下部に大きな骨隆起が認められる.対合の上顎歯列は修復物が多いがとくに異常は認められず,この欠損状況においても顎位は確保されていた.ケネディー分類Ⅰ級Episode 12 下顎両側性遊離端欠損
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